はるのリベンジ
次の日の朝餉の後、昨日、度胸試しを受けた者達が、一人一人、呼び出された。
出てきた隊士等は、
「俺、原田助勤の組だった。」
「俺は、藤堂助勤だっ!」
など言っている。
もちろん、不合格になり、荷物を纏めている者もいた。
あの襲撃を受けたとき、逃げてしまったらしい。
そっか、私は、昨日、沖田助勤が合格と言ってたから、残れるよね?
ここで、不合格なら、今までの事が全て、水の泡だ。
「小川 梅之助。入れ。」
はる「はいっ!」
緊張する。
入ると、幹部がズラリと並んでいる。
私は、真ん中に座らされていた。
近藤「君に、一つ訊ねる。君の『義』は何だ?」
はる「義?・・・。」
そんな物無い・・・。
私は、父上の言葉を思い出した。
はる「俺の義は、信じる者を、全身全霊で護り、付いていきます。そのお方が、どんな決断をしようが、周りの全てが、敵になったとしても、俺は、そのお方に全てを捧げる覚悟に御座います。それが、誰というのは、まだ、おりません。」
近藤「ふっ。そうか。見つかれば良いな。」
はる「はい。」
近藤「小川 梅之助君。君を、この壬生浪士組に迎える。」
はる「あ、ありがとうございます!」
近藤「トシ・・・。」
土方「あぁ。お前は 諾士取調兼監察方だ。」
はる「しょ・・・し?」
土方「山崎の下に付け。」
はる「はい。」
土方「それとは、別に、お前が、所属する隊だが・・・。総司と斎藤が、お前を欲しいらしい。お前が決めて良い。」
決まっている。斎藤助勤が良い。
沖田助勤の側は危険だ。
私は、斎藤助勤の組に願い出ようと口を開いた。
はる「はぁ・・・。では、さい」
土方「あぁ。肝心な事を言い忘れた。後、総司の小姓を頼みたい。これは、絶対ではないが・・・。」
はる「沖田助勤の小姓?何をするんですか?」
そう聞いた私に、土方副長の口元がニヤリとした。
しまった!今のは、何も聞かず、断らないといけなかったんだ。
時、既に遅し。
土方「興味を持ってくれたか!?そうか。そうか。簡単に言えば、お守りだ。」
はる「お守り?」
土方「まぁ、お前は、ここに来て、既にもうずっと、小姓の役目を果たしている。適任だと思うがな。」
はる「果たしている・・・?」
嫌な予感しかない。
ゴクリと、唾を飲み込む。
今までの事を思い出し、首を横に振る。
はる「言っていただけたのは大変光栄ですが、自分には、荷が重いです。」
そう。沖田助勤のお守りなんてしてたら、自分の目的なんて果たせず1日が終わってしまう。
土方「だったら、ここには置いておけねぇ。」
はる「え?」
土方「お前の疑いも晴れねぇしなぁ。」
絶対、わざとだ。仕方ない・・・。
はる「・・・。わかりました。お受けさせて頂きます・・・。」
土方「そうか。そうか。それは、助かる!では、総司の組の方が動きやすいだろ。斎藤、良いか?」
斎藤「はい。お守りなら仕方ないです。」
やっぱり、大変なんだ。
沖田「宜しくね?梅ちゃん♪」
はる「・・・。宜しくお願いします。」
でも、なんとか、入隊は出来たから、良しとしよう。