はるのリベンジ
おもちゃ見~つけたっ~沖田Side~
幹部会議の最中、入隊希望の人が来た。
話も一段落したってことで、皆で迎える。
真ん中に座った子は、小柄な男の子。
何か、おなごみたいな子だな。
これは、衆道の人達に狙われるのは必須だね。
ん?何でこの子、胸にサラシ、それに首に包帯巻いてるの?
よく見ると、刀傷。なるほど・・・。恥ずかしいって訳か。
すると、近藤先生が形式的な事を聞く。
近藤「名前は?」
「小川 梅之助と申します。」
梅之助君・・・。梅ちゃんか。
すると、梅ちゃんは、驚く事を言う。
梅之助「長州藩出身です。」
それを聞いた皆は、刀に手を置く。
すると、そんなのは、予想の範疇と言わんばかりに、飄々としている。
そして、鬼の副長がツノを出す。
土方「堂々と間者か?」
梅ちゃんは、信じてほしいと言う。
そして、得意な物を聞かれて、
梅之助「剣術、医術、密偵の真似事です。」
ぷっ。思わず、吹き出しそうになる。
この子、バカなの?
これだけ疑われて、密偵は出しちゃダメでしょ。
私は、この子に興味を持つ。
間者では、ないと思う。間者というなら、少し前に入ってきた3人の方が怪しいし。
でも、この子も何かを隠してる。『何を隠してるか』まではわからないけど。
そして、梅ちゃんが懐から取り出したもの・・・。
ここの出納帳と豊玉発句集だ。
へぇ・・・。出納帳もなかなかだけど、土方さんの部屋のしかも、豊玉発句集取ってこれるってなかなか良い腕を持ってるんだ。
すると、土方さんが、真っ赤な顔で、豊玉発句集を奪う。
あらら。土方副長。普通、副長なら出納帳を隠さないと。焦っちゃったんだね。
その光景だけでも、面白くて笑いを堪えるのに必死だったのに、梅ちゃんは、その上を言った。
梅之助「密偵の腕を見て欲しかったんです。それには、上官の方の情報を取るのが一番だと思いまして。その書簡、副長と呼ばれていた方の所にありました。結構、手の込んだ所に隠されていたので機密文書の可能性が高いかと思いそれを拝借しました。しかし、その中の隠し言葉までは、解りませんでした。」
今、何て言った?スッゴく面白い事言ったよね?
沖田「機密文書?隠し言葉?」
私が問うと、
梅之助「はい。だから、あんなわらし同等のものになったのだと・・・。」
沖田「ぶはっ!アハハハハハハ!もーダメ!お腹っ・・痛いっ・・・。アハハハハハ。機密文書・・・。隠し言葉・・・。わらし同等だってっ!」
土方「総司っっ!黙れっ!」
土方さんに、怒られたけど、こんな、面白いのに、黙れないよ。くくくっ。
すると、赤くなっていた土方さんは、梅ちゃんと鼻と鼻が、付く位近付いて、口止めしている。
土方「オイ。梅・・・。このことは、忘れろ。忘れられるよな?あぁ!?」
そんなに必死になる土方さん久しぶりに見た。
ダメだ。笑いを止めれない。私は、咳をする振りをして誤魔化す。
すると、近藤先生がコホンと咳払いをする。
近藤「梅君。君の密偵の実力は良くわかった。トシ。落ち着け。」
土方「あぁ。」
そう言って、少し落ち着いたのか土方さんも元の場所に戻っていく。
ただ、長州藩出身の密偵得意の奴を入れるかどうか、皆、悩んでいるようだった。
この子は何かを隠している。もし、何かを企んでるなら近くに置いて監視すべきだ。そう思い、私は、助け船を出す。
沖田「近藤先生。物は考えようですよ。だって、この人、屯所中を知ってしまったんでしょ?だったら、そのまま帰すより、ここで監視した方が良くありませんか?もし、怪しかったら斬っちゃえば良いんですよ。」
それに、近藤先生は共感してくれた。
近藤「確かにそうだな。では、梅君。共に、頑張ろう。」
梅之助「ありがとうございます!」
嬉しそうな顔しちゃって。
まぁ、何も無ければ楽しめそうだけどね・・・。宜しくね。梅ちゃん♪