はるのリベンジ


沖田「これは、食べれる。これは、ダメっと。」




私達は、食べれる草を摘んでいる。





沖田「ねぇ。梅ちゃん、これは?」



はる「それは、食べれます。こっちは無理です。」


私は、梅ちゃんに食べれるものと食べれない物を教示してもらっていた。


楽しいと思ったのは意外だった。




しばらく摘んでいると・・・。




沖田「痛っ!」




草を引っ張ると、手に痛みが走る。梅ちゃんが、すぐに来てくれた。



梅之助「痛かったですよね。」



一つ一つ、棘を抜いてくれていた。人差し指から血が出ていた。


あ・・・。血だ。



そう思った瞬間、指先が、温かく柔らかい物に包まれた。



見ると、梅ちゃんが私の指を口にくわえてチュッと吸っている。



まただ。



昨日、口元を拭いてくれた時のようにドキドキしてきた。



その姿から、目が離せない。


その指から伝わる温かく柔らかい感触に、全神経を持って行かれる。




すると、指をくわえたまま梅ちゃんが私を見上げてきた。



可愛い・・・。



ハッとする。いやいや、梅ちゃんは、男だし!私は、衆道の趣味はない。と言い聞かせる。



すると、梅ちゃんは、指から口を離して、手拭いで手を覆う。



指先の柔らかい感触が、無くなり寂しいと思うと、



梅之助「沖田助勤?どうかしましたか?痛いとか?」



沖田「な・・・。なんか今、梅ちゃんが、おなごに見えて、胸が高鳴っちゃった。あぁ!驚いた!」



私は、梅ちゃんに、欲情してたなんて言えなくて、とっさに思っていた事を口走ってしまう。




梅之助「はははっ。よく言われるんですよねぇ・・・。」



と悲しそうな顔をする。男としての誇りを傷付けた。これだけ可愛い顔してるんだから、色々、からかわれたりもしただろう。




私は、慌てて、否定した。



すると、梅ちゃんにも、笑みが出た。・・・良かった。




そして、帰りに、店を回りタダで貰える余った物を分けてもらって、帰った。





部屋に戻って金平糖を食べながら先ほどの事を考える。


唇の感触、柔らかかったなぁ。接吻とかしたら、気持ち良いだろうなぁ・・・。



無意識にそんな事を考えている自分にハッとして頭を振る。



すると、襖の向こうで梅ちゃんの声がする。




梅之助「沖田助勤。いらっしゃいますか?」



沖田「うん。」



そう答え、梅ちゃんを部屋に入れる。



梅之助「本当に甘味が好きなんですね。」


沖田「うん。大好き!梅ちゃんの団子も好きだよ!また作ってね?」



はる「はい。あの粉もまだまだありますし。沖田助勤。さっきの手当てしましょう。」



そう言うと、梅ちゃんは、持ってきた桶の水で私の手を洗い、薬を塗ってくれる。




その姿を見てると、視線は唇に・・・。触れたい・・・。そう思って近づくと、



はる「ちょっと、大袈裟になりましたが、明日には、取っても良いですよ。これしてたら、刀握れませんもんね。」


いきなり顔を上げられ、ビクッとなる。



気付かれてないよね?私は、とっさに持っていた金平糖を摘む。


沖田「うん。ありがとう。口開けて?」



素直に口を開けている梅ちゃんが可愛らしいが、平常心を装いポンと金平糖を梅ちゃんの口に入れた。



梅之助「甘い・・・。金平糖!ふふっ。ありがとうございます!」



沖田「ううん。私の方こそありがとう。」



はる「では、失礼し・・・。」



用事が済み帰ろうとする梅ちゃんともう少し一緒にいたくて、話を振る。


沖田「ねぇ。今日の土手の草摘み楽しかった。」


梅之助「そうですね。」


沖田「あ・・・。ねぇねぇ。梅ちゃんの剣ってさぁ。何流なの?」




梅之助「俺は、柳生新陰流です。沖田助勤は、」


沖田「天然理心流だよ。」


緊張して、質問に答え被せちゃった。


沖田「今度、手合わせしてよ?」


梅之助「お願いします!あ・・・。そういえば、斎藤助勤は、ここではどの位の腕前なんですか?」




なんで、斉藤君?少し、モヤモヤする。




沖田「斎藤君?うーん・・・。二番か三番かな?」


梅之助「二番か三番!?」


驚いている。どうして斉藤君?斉藤君みたいのが好きなの?私は、思ったことを聞いてみる。


沖田「どうして斎藤君?」



梅之助「今朝、手合わせを何度かしていただいたんですが一つも勝てなくて・・・。あのここでの一番って誰ですか?」



なぁんだ、そういう事か。モヤモヤが、晴れた。って、なんで、こんな気持ちになるんだろう。そんな事を考えていると、誰が一番って話しになり・・・。


沖田「私だよ。」


はる「え・・・?」



明らか、見えない。何でこの人が!?って顔に書いてあった。


沖田「私が一番じゃ、不服?」


梅之助「いえっ。お若いから、驚いただけです。」


沖田「君の方が若いじゃない。」


そう言ってクスクス笑う。



楽しい時間だったのに、邪魔が入った。



土方さん・・・。またガミガミしてる。



私は、わざと、怒らせる言葉を選ぶ。



すると、それに釣られて、土方さんの顔も赤くなる。



美丈夫って言われてるけど、この顔見せたら、百年の恋も冷めるだろうね。




そして、梅ちゃんが、団子を作るという事で、その場は収まった。



つまみ食いしに行こうっと♪





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