はるのリベンジ
会津藩の松平様より、壬生浪士組は、新選組という名を頂いた。
はる「新選組・・・。」
私は浮かれる気にもあまりなれなかった。
復讐の時は満ちるのか・・・。
そればかりで頭がいっぱいになる。
そんな時、近藤局長と土方副長が会津の殿様の側近から呼び出しを受ける。
芹沢隊長の粛清命令。
時は満ちた。
この時しかない。
私は、幹部会議を、天井裏で聞いていた。
しかも、暗殺は芹沢隊長だけでなく、芹沢一派を一掃するらしい。
結局、粛清命令に乗じて、近藤局長が、新選組を乗っ取りたいって事?
そして、暗殺を誰がするかという話しになっている。
土方副長、沖田助勤、藤堂助勤、原田助勤か・・・。
私も入りたいが、この方達を差し置いて言えない。
しかも、芹沢隊長もその側近も、剣豪だ。下手に動くと、暗殺自体、ダメになる。
だったら毒殺を先にけしかけようか?
そして、側近を削ぎ落とす。という話しになっている。
新見の事になり、新見をまず、切腹に持ち込むとのことだった。
だったら、不正が必要。ここには、厳しい、局中法度がある。
証拠は何もない。無ければ作ってしまえば良い。
私は、天井裏から、離れた。
私は、片桐の所へ書簡を取りに行く。
私の裏の顔に関するものは、片桐に預けているからだ。
はる「片桐・・・。お土産が欲しい・・・。」
これは、隠語だ。
帰りに『私が預けている情報を』持って帰ると言う意味。
片桐「はい。かしこまりました。東行先生が来られてます。」
抱きしめながら、片桐が言った。
はる「本当に!?」
片桐がコクリと頷き、案内してくれる。
部屋の前で、声をかける。
はる「梅之助です。」
東行「入れ。」
襖を開けると、愛しいその人は芸妓とお酒を飲んでいた。
会えて嬉しい気持ちと、モヤモヤの気持ちが湧いて出る。
私が、入ると入れ替わりで、芸妓は部屋を出て行く。
はる「お久しぶりにございます。奇兵隊、創設おめでとうございます。」
東行「あぁ。挨拶は良いから酒を注げ。」
これ、前と同じだ。
先生と出逢ったときと。
はる「先生は、どうしてこちらに?」
東行「お前の顔を見たくて、抜けてきた。って言ったら?」
フッと笑った、東行先生に私は、嬉しくて、顔を赤くする。
そして、最近の事を、報告した。
はる「どうしたら暗殺の任務を受けれるでしょうか?」
東行「・・・。お前は、高みの見物をしておけ。」
はる「そんな・・・。」
東行「お前は、まだ、拷問をかけた奴を探さねぇといけねぇ。だから、今は、動くな。暗殺が終わった頃に行って、一発殴って来たら良い。」
少し、後ろ髪は引かれるが、多分それが、一番得策なんだと思う。
東行「順調に進んでるようで何よりだ。」
そう言うと、東行先生は、私に口付けた。
久々の先生の感触に、全身の奥から、甘い疼きが溢れる。
どんどん口付けは深くなり、押し倒される。
はる「東行先生・・・。お会いしとうございました・・・。」
東行「ふっ。お前は、もう、忘れたのか?は・る?」
はる「忘れていません。春風様・・・。」
私達は、私の門限ギリギリまで、愛し合った。