はるのリベンジ



そして、斎藤助勤と、稽古をするが、何かおかしい。


斎藤助勤は、私の首元をよく見ていた。






朝餉になり、同じ隊の人達と並ぶと、



隊士「オイ。お前の相手、どんなんだよ。」


はる「え?何がですか?」



トントンと、鎖骨を指さしている。



・・・。まさか・・・。




私は、慌てて、部屋に戻り、先ほど、沖田助勤が口付けた所を鏡で見る。



鎖骨には、真っ赤な大きな口付けの痕が浮かび上がっていた。


沖田めぇぇ!!!




食堂に向かう前にある場所へ行く。



山崎「おはよー。ってなにそれ?」


鎖骨をまじまじと見つめられて、怒鳴りたい気持ちをグッと堪える。


はる「山崎さん。お借りしたい物が・・・。」




私は、引きずるように、山崎さんを引っ張り化粧道具を借りて、首元の痕を消した。




そして、私は、山崎さんと共に、食堂へ向かう。


その時、藤堂助勤と原田助勤と永倉助勤が来た。



私は、暗殺した二人に抱きついた。


はる「いつも、ありがとうございます!」


藤堂「おわっ。どうした!?」


原田「何かあったのか?」


そして、永倉助勤にも、抱きついた。


永倉「大丈夫か?」



ギュッ。


はる「永倉助勤も、いつも、ありがとうございます!」



すると、今は、敵でしかない沖田助勤がヒョッコリ顔を出す。



沖田「なぁんだ。もう、見つかったか。」



山崎さんに借りた化粧道具で隠れた痕に指を滑らす。



はる「沖田 総司・・・。覚悟っっ!」


私は、抜刀する。



それを、待ってましたと言わんばかりに、沖田助勤は、嬉しそうに、逃げ回る。


皆は、「遂に、梅が、キレた」と遠巻きに見ている。



はる「待てっ!この鬼畜野郎っ!俺は、あんたの、色小姓じゃないっっ!!」


沖田「ちょっと、梅ちゃん。自分の隊の長に向かって、それはないでしょ?」



はる「やって良いことと悪いことがあるでしょうがっっ!この変態っ!」


沖田「まぁたそんな事、言う。私、傷ついちゃいます。ふふふっ!」


はる「楽しんでんじゃねぇ!この甘味バカっ!虫歯になってしまえっっ!って、あ・・・。フフフフフフ・・・。」



いきなり、止まって、笑い出した私を見て、皆は、「ついに梅が壊れた」と口々に言う。



そうだよ。コレだよ。こんな事して追いかけっこしても、沖田助勤は、喜ぶだけだ。


私は、刀を鞘に収める。


そして、皆に頭を下げた。


はる「お見苦しい所をお見せしました!」


沖田「えぇ。もう、終わり?」


と、沖田助勤は、ブツブツ言ってたが、今は無視だ。



私は、あることを、思い付いた。



はる「ふんふんふんふん~♪」


私は、団子を作っていた。



そして、団子の中には、お酢を大量に入れる。



悪戯には、悪戯で返す。



そして、土方副長も、呼んだ。



はる「土方副長。一緒に、日頃の恨みを晴らしましょう!」


私は、そう言って、土方副長に、沖田助勤を呼び出してもらった。



そして、真剣に何かの話をしているときに、お茶と共に団子を出した。



はる「どうぞ。」


見た目はみたらし団子。甘い物が苦手な土方副長には、焼いて、醤油を付けた。


沖田「美味しそう!いたっだきます!」


パクッ。


沖田「・・・。ゴホッ。ゴホッ。ゴホッ。な・・・。何これっ!酸っぱい!ゴホッ。」


はる「アハハハハ!大成功!」


土方「くくくっ。そうか。この手か・・・。くくくっ。」


涙目になって咳き込む沖田助勤が、私を睨む。


沖田「甘いと思ったから、余計に・・・。ゴホッ。ゴホッ。」


はる「悪戯には、悪戯で返す。です!」


そんな、やり取りを、横で楽しそうに、見ていた土方副長が団子を口に入れた瞬間、固まった。


土方「・・・。ゴホッ。ゴホッ。ゴホッ。おまっ・・・。ゴホッ。これっ・・・。」


沖田「アハハハハ!土方さんまで、やられてるし!今の顔、最高ですっ!アハハハハ!」


はる「え・・・。どうして?って間違えた?」

土方「梅ぇぇぇ。テメェ・・・。」


はる「す、すみません!わざとじゃ・・・。」


沖田「梅ちゃん。私も、愛するみたらし団子にこんな事・・・。許さないよ・・・。どうなるか、わかってるよね?」



黒い笑みを浮かべた、沖田助勤と、顔を真っ赤にして、既に、抜刀している土方副長。


これは、命ないかも・・・。


そして、私は、二人に、追っかけ回された。







はる「はぁ・・・。はぁ・・・。助けてっ!」



土方副長に沖田助勤という組み合わせに追っかけられている私に手を差し伸べようとする、度胸者はいない。



そこに・・・。



はる「山崎さんっ!助けてっ!!下さいっ!」


状況をすぐ把握した山崎さん。



ニッコリ笑って、


山崎「さいなら~♪」



はる「やだっ!助けてっ!」


土方「梅っ!コラァ!待ちやがれ!」


沖田「私に、こんな事をするなんて、どうなるかわかってるんでしょう?土方さん。私は、こちらから、回り込みます!」


土方「任せた!」



山崎「オイ!ちょっと!付いてくんなや~!」


はる「やですっ!先輩っ!どこまでも、付いていきます~!!」


山崎「ウワッ!」

はる「痛っ!」



沖田「捕まえた♪」


土方「良くやった。総司・・・。何だ?お前も、仲間か?山崎・・・。」



山崎「いえ。ちゃいます!僕は、全くの無関係・・・。」


はる「あ・・・。これ・・・。唇に付いてるの団子の醤油・・・。土方副長の食べたでしょう?」


ギクッ。


山崎さんの体が揺れた。


山崎「確かに、食べたけど、ちゃんと残ってた団子を皿に置いたで?」



はる「残ってる物は全て、酢入り団子だったんです!」



土方「お前のせいかよ・・・。」


山崎「ひぃっ。」


沖田「土方さんは、山崎さんってことで。私の恨みは、梅ちゃんってことだよね?」



ズイッと寄ってこられて、ビクッとなる。



そうだ。一か八か。



私は色気を使う。


上目遣いに、ウルウルの目。


はる「沖田助勤・・・。」


沖田「う゛・・・。」



少し掴まれていた首根っこが緩む。



よしっ!!


私は、とっさに沖田助勤を押して、その場を逃げ出した。




その後、八つ当たりも含め、山崎さんがしごかれたそうだが、知らない振りを決め込んだ。








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