はるのリベンジ
それから、私は、心を病んだ。
何をしても、荒木田さんを斬ったときの感触、匂い、声がいつも思い出された。
私は、庭で、ボーッとする事が多くなった。
父上は、私が、人を斬ってまで、復讐を望んでいたのだろうか・・・。
私は、庭の隅の誰も来ない所でしゃがみこむ。
あれから手が震える。竹刀すら持てない。こんなんで、復讐なんてできない。
はぁ・・・。東行先生はこうなることを予見されていたのかもしれない。だから、最初、止めたのかもしれない。だから、最初に、覚悟を見せろと仰ったのかもしれない。
東行先生に会いたい・・・。
こんな、私を見たら、先生はなんて言う?
『だから、言っただろう。』
『そんな風になるんだったらもうやめちまえ。』
はる「どの思い付く言葉もキツイ・・・。でも、きっと、優しい言葉もかけてくれますよね・・・。」
「ここにいたんだ。」
声をかけられ振り返ると、沖田助勤がいた。
はる「あ・・・。沖田助勤・・・。」
私は、震える手を、後ろに隠す。
すると、沖田助勤は、私に近付いて頭に手を置いた。
沖田「粛清・・・。よく頑張ったね。」
はる「いえ・・・。全然、ダメです。」
すると、沖田助勤は、私を抱きしめた。
沖田「心に溜めてる苦しい思いを出してごらん?間者かもだなんて思わないから・・・・。」
私は、伏せていた顔を上げて、沖田助勤の目を見つめる。
優しい目だ・・・。
私は、沖田助勤の胸に顔を埋める。
はる「今も・・・。荒木田さんを斬ったときの事が鮮明に、思い出されるんです・・・。そしたら手が震えて・・・。でも、こんな所・・・。見られたら、間者だからって思われそうで・・・。」
私は、心の中の苦しい気持ちを吐き出した。
沖田助勤は、その間、ずっと、抱きしめて、聞いてくれていた。