はるのリベンジ
屯所に戻った私は、土方副長に報告をする。
そして・・・。
6月5日。今日は、祇園祭の宵々山。
武田助勤らが、古高様を連れてきた。
連れてこられた、古高様は、チラッと私を見る。
私は、彼の意志を感じる。絶対、喋らないという決意を・・・。
これから、きっと、拷問が始まる。
ここへ来て、何度も拷問の後の手当てをして来た。
だが、受けてる側が、我慢できず、すぐ喋っていた。
だから、父上と同じ、傷などが付く前に、拷問は終わっていた。
この人は、何となくだけど、覚悟が違う気がする・・・。
そして・・・。
土方副長の罵倒と呻き声が聞こえ出す。
よし!
私は、拷問部屋に忍び込む。
梁の上から覗く。
水責め。鞭打ち。罵倒。逆さ吊り。
それでも、話さない。
土方「じゃあ、次は、これでいく・・・。喋る気になるんじゃねぇのか・・・?」
土方副長の手には、釘と蝋燭・・・。
あれは・・・。
目がだんだん見開く。
ガンっ。ガンっ・・・。
という音と共に、古高様が、絶叫をしていた。
古高様は、足の甲から裏にかけて釘を打たれて、逆さ吊りにされ、そこにろうそくを立て、灯を灯される。
その蝋が、傷口に垂れ、絶叫を上げている。
あの傷・・・。父上にもあった・・・。蝋が固まって、肌にも少し付いていた。
アイツが・・・。アイツ・・・。土方副長が、父上に拷問をかけたのか?
私は、外に出て裸足で駆け出した。
人を初めて斬ったときに来た、庭の隅に佇む。
私の体は、底から湧き上がる怒りに震える。
直感的に悟った。
アイツ・・・。土方 歳三がやったのだと。
だが、これが、ここのやり方だとしたら、全員が、その方法で、拷問をする。
どうすれば、誰がやったか突き止められる?
まだ、動いてはダメだ・・・。
時は、まだ、満ちていない。