はるのリベンジ
二日後。
土方副長が戻ってきた。
私は、怪我人の報告をしている。たまたま、近藤局長も、来られて、一緒に報告を聞く。
はる「あの・・・。実はですね・・・。」
土方「何だ?」
はる「沖田助勤の事なのですが・・・。」
近藤「そう言えば、最近、元気がなかった。」
土方「確かに。まさか、何かの病気か?」
はる「病気と言えば病気なのですが・・・。」
曖昧に言う私に、土方副長が業を煮やして言う。
土方「早く言え。」
仕方ない。
はる「沖田助勤は、恋をしています。本人は、まだ、自分が恋していると気づいていません。今回は、恋煩いをされていて、食欲が落ちてしまって、倒れました。」
近藤・土方「総司が恋!?」
二人共、固まって、お互いの顔を見合わせている。
近藤「あの総司がか!?」
土方「それは、確かか!?」
はる「はい。ずっと、あるおなごを探していらっしゃって、桝屋まで行ったそうです。」
土方「あ・・・。あん時の・・・。」
はる「それで・・・。その・・・。」
土方「何だよ?」
はる「そのおなごに無視をされ、落ち込んで、食事が喉を通らなくなったそうです。」
土方「あいつもいっちょ前に、そんな心を持ってたんだなぁ。」
近藤「そうか。そうか。おなごに、全く興味を示さなかった総司も、ついに、恋するようになったか・・・。」
二人共、感慨深く嬉しそうにしていた。
近藤「で?相手のお嬢さんは、どんな人なんだ?」
二人は、興味津々に、私の次の言葉を待っている。
はる「実は、現実には、二人というか・・・。本人は、一人と思っているんですが・・・。」
土方「どういう事だ?」
はる「相手なんですが、俺の双子の姉に恋をしているんです。」
近藤「また、すごい縁だな。」
はる「はい。俺も、驚きました。それで、沖田助勤は、初めて、出会った時は、姉に出会いました。でも、桝屋のおなごは、俺です。池田屋のも俺です。沖田助勤は、桝屋で無視されたのも、池田屋で助けてくれたのも、姉だと思ってて・・・。」
近藤「何だか、ややこしいな・・・。」
土方「で?お前の姉君は、どうなんだ?」
はる「一人ですが、大切な人がいます。」
近藤「残念だなぁ。」
土方「まぁ。でも、そんなモンだろ。どうしても、欲しかったら、ソイツから奪ってやれば良いだけの事だ。」
近藤「まぁな。」
二人は、ニヤリと笑う。
この二人はモテるから・・・。
そして、自分の気持ちも含めて、教えてやれとの事だった。