はるのリベンジ




宴会が始まる。




これは、マズい・・・。非常にマズい・・・。どうしよう・・・。



私達は、廊下で待機をしている。



私は、今もなお抵抗していると、中から忌々しい声が聞こえる。



「今日は、新選組きってのとびっきりの芸妓を用意しています。どうぞ!」


そこで、襖が開かれ、廊下に待機していた、芸妓に姿を変えさせられた綺麗な顔を持つ隊士達が中に入って行く。



クジなんて嘘っぱちで、嵌められた。



私は、最後まで抵抗する。おなごとバレるような事はしたくない。


部屋の中で「おぉぉー」と低い雄叫びが聞こえる。




「次は、一番隊隊員、沖田助勤の小姓もなんなくこなす。梅乃太夫でーす!」



抵抗するも、引っ張られて、つんのめって部屋に入ってしまう。




しまった・・・。



顔を上げると、ザワザワしていた部屋が、一気に、静まった。



え・・・?もしかして、女ってバレた!?



そう思うと、




永倉「梅!!お前、めちゃくちゃ綺麗じゃねぇかっ!!」



藤堂「そこら辺のおなごより全然イケる!」



そこからドヤドヤとうるさくなる。




私は、近藤局長の所に行って、酌をする。



はる「どうぞ。」


近藤「ありがとう。本当に綺麗だな!これからのおなごでの潜入は梅だ!」


はる「ははは。潜入ならしますが・・・。」



そして、土方副長の所に行く。



はる「どうぞ。」


あれ?土方副長、少し赤い顔?しかも目を合わせてくれない。




土方「あぁ・・・。それにしても・・・。」


はる「何ですか?」



土方「本物のおなごみてぇ。今のお前なら抱ける。」



はる「や、止めてくださいよ。はははっ。」



他の幹部の方々にも、酌をすると、それぞれお褒めの言葉を頂く。




そして、沖田助勤の前へ行った。



はる「どうぞ。」


沖田「あ、あ、ありがとう!」



そう言って、差し出すお猪口は震えている。



こぼれるな。これ。


私は、沖田助勤がお猪口を握る手を包んで震えを止めてお酒を注いだ。



すると、抱き寄せられて、隣に座らされる。



え・・・。何で?幹部に、お酒注いだら、着替えても良いんだよね?



すると、沖田助勤は、次々お酒を煽る。



はる「沖田助勤。大丈夫ですか?」


すると、目がトロンとして、明らか熱の籠もった目で見つめてきた。


はる「沖田・・・助勤?」


ヤバい!私の中の警戒の鐘が鳴る。



はる「俺、そろそろ、着替えて・・・。」

沖田「ダメっ!!」


はる「えぇ?でも、幹部の皆様にお酌したら、着替えても良いって事になってて・・・。」

沖田「ダメっ!!君の組の長として。そして、副長助勤の命令で着替えちゃダメっ!!」


はる「そんな・・・。」


助けて・・・。と目線で他の幹部の方々に呼びかけたものの皆、面白がっている。


そして、土方副長が、


土方「今日は、お前はその格好でいろ!副長命令だ!くくくっ。」


この人、絶対、楽しんでるっ。


すると、近藤局長までもが、



近藤「おぉ!歳!それを言うか?ならば、俺も!梅君!局長命令で今日はその格好でいなさい!」


はる「そんなぁ~。」


と情けない声が出た私に、皆が笑う。



すると、グイッと両頬を手で挟まれ、向きを変えられる。


はる「っ。痛いですっ!」


沖田「他の男、見ちゃダメだよぉ。」


そう言うと、沖田助勤は、抱きついてきて、私の耳に唇を付けてチュッと音を立てる。


はる「なっ!ちょっと!やめて下さい!」


沖田「怒った顔も可愛いなぁ。」


と、頬をつついてくる。


はる「沖田助勤。酔ってます。今、水を・・・。」



沖田「おはるちゃん・・・。」


はる「へ?」


沖田「おはるちゃんもこんな風になるんだろうなぁ。ふふふっ。」


そう言うと、沖田助勤は、私の首筋に、唇を這わせる。



はる「俺は、おはるじゃなくて梅之助です。気持ち悪いことしないで下さい。」


沖田「おはるちゃんの顔で、気持ち悪いとか言わないでよぉ。」


はる「では、そんな事しないで下さい。」


と、沖田助勤の顔を睨むと、



沖田「睨んでも可愛いだけだよぉ。」


とギュッと抱きしめられる。




あ!そうだ!



はる「沖田助勤!近藤局長に、お酒を注ぎに行きましょう!ね?ね?」



沖田「本当だ!行こう!」


そして、沖田助勤は、近藤局長にお酒を注ぐ。



沖田「近藤先生!私は、地獄まででも、先生について行きます!」



近藤「ありがとう。総司。お前は、良くやってくれている。これからも期待している。」




そして、近藤局長は、沖田助勤の頭を撫でた。



沖田「近藤先生っ!!」




沖田助勤は、ギュッと抱きつく。



するとポンポンと背中を叩かれていた。




それに気分を良くした、沖田助勤は、今度は、土方副長の所へ行こうと立ち上がろうとした。




すると、酔った足元はフラフラで、立ち上がる際に、自分の袴の裾を、踏んづけた。



沖田「土方さっ!!」


土方「オイっ!危ねっ。」



ドカッ。ブチュ。



・・・・・・・・・。


土方・沖田「・・・。っ!!!!!!」


二人は、深い口付けを交わしていた。



土方・沖田「・・・。おっえぇぇぇぇぇぇ!」


沖田「いくら、私が可愛いからって何て事するんですかっ!!」


土方「それは、こっちの台詞だ!バカ野郎!」



沖田「土方さんが可愛いなんて微塵もありません!私の口付け返して下さいっ!!貞操の危機ですっ!!」


土方「そっちじゃねぇわ!!相手に困ってないっ!!しかも、俺には、そんな、趣味はねぇ!」


言い合いになってる。


すると、袖をツンツンと引っ張られる。



はる「原田助勤!」


原田「あんな、衆道野郎共、放っておいて、こっちで飲もうぜ。」


はる「はい!」



私は、原田助勤達と飲む。



原田「それにしても、お前、化けたな~。この遊郭でも客取れるぞ!」



永倉「本当だ!今宵は俺の所へ来るか?」


藤堂「ちょっと、お二人共~。後ろで、怖い顔した旦那が、睨んでますよ?」


皆で振り向くと、沖田助勤が、仁王立ちで、殺気を纏っている。


沖田「私のおはるちゃんですからっ!」


原田・永倉・藤堂「おはるちゃん?」



沖田「返して下さいっ!!」


そう言うと、ズルズル引きずられて、また、同じ場所に座らされて、抱きつかれる。


すると、


「そろそろ、お開きにしよう。」



という、天からの言葉。



ここで泊まる者。屯所に帰る者。別の店に行く者。様々だ。



はる「沖田助勤!そろそろ帰りましょう!俺は、帰ります。それとも、沖田助勤は、ここに泊まるんですか?」



沖田「私は、君とここに泊まる。」


はる「いや・・・。俺は、」



チュッ、チュッ、チュッ。



額やこめかみに、唇を這わせ、音を立てて、口づけられる。



ゆっくり、押し倒そうとする沖田助勤。


はる「ちょっと、誰か、助け・・って誰もいない!」


沖田「皆、帰ったよ?私達だけだね・・・。」



そう言って、沖田助勤は、私の唇を指で、なぞる。


体重を掛けられ支えきれなくなり、押し倒される。



すると、


「すみませんが、部屋を、ご用意させて頂きましたので、移って頂けますか?」


はる「何て事をっ!!」


沖田「ありがとう。行こっか?」


そう言うと、私の返事も聞かないうちに、膝の後ろに手を入れ横抱きにされて、部屋に連れ込まれる。


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