溶けないチョコレート
原田くんのテンションは付き合う前と変わらず…
「はなちよ♪愛してる♪」
「はーい、ありがと。」
「またそうやってスルーして…。俺達付き合ってるんだぜ?(笑)」
「あーそうだったね♪」
「反応薄っ!(笑)」
そんな話をしていたけど、
原田くんの腕に切り傷があった。
(サッカー部って…こんな怪我するっけ?)
私はそう思って
「原田くん。その傷…何?」
そう言うと原田くんは慌てて腕を隠して
「なんでもないよ♪」
と、笑顔で明るかった。
「痛そう…。」
私はそう言って原田くんの腕に手を添えようとした。
「やめろって!」
初めて原田くんが私を怒鳴った。
「…原田…くん?」
私はびっくりして固まってしまった。
「猫に引っかかれてさ(笑)まだ痛いから触らないで?ごめんね(笑)」
私はなぜか悲しくなって廊下に出た。
すると、
「あいつすっげー猫嫌いでさ(笑)」
私の隣にいた取り巻きの晴人くんが私の耳に囁いた。
「………うそ。」
「だろー(笑)あいつが猫嫌いなんて「違う!」」
「あれは…猫に引っかかれた傷じゃない!」
「え?」
「私も近所の猫に引っかかれたことあるの。でもね…引っかかれただけであんな風にはならない。あれは……カッターの傷。」
私がそういうと晴人くんが動揺していた。
「晴人くんは知ってるんでしょ?!どうして原田くんにあんな傷があるの?!教えてよ!」
「千代子!」
気づけば廊下に原田くんがいた。
「晴人、俺が話す。」
原田くんは晴人くんの肩を叩いた。