元教え子は現上司
「ひぃちゃんてさ、リーダーのこと好きなの~?」
ガコンッ。
自動販売機のボタンを押すと、お茶が取り出し口へと滑り落ちた。落下したペットボトルを食い入るように見ることで、鼓動を押し殺そうとする。
「ねぇってば~。リーダーのこと、好、き、な、の、」
いっそう大きな声でユナはくり返す。ダメだ、この子相手に無言だと余計形勢が悪くなる。
「まさか。なんでですか」
にっこりと笑ってペットボトルを取り出す。取り出した瞬間、緑茶じゃなくてウーロン茶を選んだはずだったのに、と眉間にシワが寄る。いちいち動揺する自分が嫌だ。
「なぁんか、視線? 的な?」
ユナがきれいにネイルした人さし指を口元にあてて考える。
「だってしょっちゅう見てなぁい? リーダーのこと」
ぎくりとして固まる。
「一目惚れかなぁとおもって。ウチのリーダー、モテるからぁ」
キャハハとユナが笑う。昨日の女の子たちを思い出した。碧は黙ってペットボトルの蓋を開けると、ゴクゴクと緑茶を飲み下した。苦味が口に広がる。
ペットボトルから口を離すと、微笑んだ。
「好きじゃないですよ。私はもう、恋はしないんです」
ガコンッ。
自動販売機のボタンを押すと、お茶が取り出し口へと滑り落ちた。落下したペットボトルを食い入るように見ることで、鼓動を押し殺そうとする。
「ねぇってば~。リーダーのこと、好、き、な、の、」
いっそう大きな声でユナはくり返す。ダメだ、この子相手に無言だと余計形勢が悪くなる。
「まさか。なんでですか」
にっこりと笑ってペットボトルを取り出す。取り出した瞬間、緑茶じゃなくてウーロン茶を選んだはずだったのに、と眉間にシワが寄る。いちいち動揺する自分が嫌だ。
「なぁんか、視線? 的な?」
ユナがきれいにネイルした人さし指を口元にあてて考える。
「だってしょっちゅう見てなぁい? リーダーのこと」
ぎくりとして固まる。
「一目惚れかなぁとおもって。ウチのリーダー、モテるからぁ」
キャハハとユナが笑う。昨日の女の子たちを思い出した。碧は黙ってペットボトルの蓋を開けると、ゴクゴクと緑茶を飲み下した。苦味が口に広がる。
ペットボトルから口を離すと、微笑んだ。
「好きじゃないですよ。私はもう、恋はしないんです」