元教え子は現上司
それからは友人として、二人で何度か食事をした。意外なことに小川はかなりの愛煙家で、選ぶ店は全て喫煙席のある店だった。
「たばこ吸うんですね」
講師たちが喫煙所として使用している講師室のベランダで小川の姿を見たことはなかった。意外に思って尋ねると、小川は苦笑して答えた。
「吸うときくらい、ほっとしたいじゃないですか。でもあそこだと、いろんな人につかまっちゃうんで」
御曹司も大変なんだな、と思いながら相槌をうつ。けれどこうして話してみると、肩書に関係なく、人気があるのも頷けた。実際、頭の良い小川との会話は面白かった。
いい友だちになれた。そう思っていた。
夏が終わって秋が過ぎ、冬になれば塾として一番大事な時期になる。センター試験まであと何日、という紙が貼りだされ、生徒たちも講師陣もどこか張りつめた表情で教室に向かう。
受験が近づいていた。
「たばこ吸うんですね」
講師たちが喫煙所として使用している講師室のベランダで小川の姿を見たことはなかった。意外に思って尋ねると、小川は苦笑して答えた。
「吸うときくらい、ほっとしたいじゃないですか。でもあそこだと、いろんな人につかまっちゃうんで」
御曹司も大変なんだな、と思いながら相槌をうつ。けれどこうして話してみると、肩書に関係なく、人気があるのも頷けた。実際、頭の良い小川との会話は面白かった。
いい友だちになれた。そう思っていた。
夏が終わって秋が過ぎ、冬になれば塾として一番大事な時期になる。センター試験まであと何日、という紙が貼りだされ、生徒たちも講師陣もどこか張りつめた表情で教室に向かう。
受験が近づいていた。