小鳥遊さんの愛し方








私はもう一回、図書室に行った。




チラッと中を覗くと千尋くんが本を読んでいた。

……はぁ、大丈夫かな。




「ち、千尋くん…」




千尋くんは1度私を見たあとに、
また直ぐに目線を本に戻した。




「あの、さ」




「みんなのくれたお菓子、美味しいね」




「…っ」




さっきまであったお菓子は、1つずつ丁寧に開けられてて、食べたんだって分かった。




「それじゃあ」




千尋くんは本をしまって、お菓子を1つの袋にまとめて、何事もなかったかのように図書室から出ていってしまった。




……何も、言えなかった。




それから予鈴が鳴って、私は急いで教室に戻った。









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