艶麗な夜華
次の日。



お店に行くとすでに出勤していた恭也。


「あれ?今日は早いね?」


あたしの問いかけに、カウンターの中に居た恭也が口を開く。


「そこに座れ」


えっ?


不機嫌そうな顔の恭也に緊張するあたし。


「昨日の事……怒ってるの?」


椅子に座り恐る恐るそう聞くあたしをじっと見つめる恭也が怖い。


「お前」


「な、なに……?」


たしかに昨日は酔っていて、


少しわがままを言ったかもしれない。


でも、そんなに怒られる事したかなぁ?


うつむき加減で恭也を見るけど、


その鋭い目に下を向いてしまう。


恭也はそんなあたしに顔を近づけると、


低く静かな声で話し始めた。



「俺の勘違いだったら悪いけど…」


「ん?」


「お前……」


「な…に……?」


「まさか俺に惚れてんじゃねぇよな?」


えっ…



一瞬、時間が止まり頭の中が真っ白になる。



「………」
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