艶麗な夜華
「どうして……別にあたしが勝手に恭也の事を好きなだけじゃん!」


「それが迷惑なんだよ」


「なんでよ!!気にしなきゃいいじゃん!!」


大きな声を出すあたしに恭也が顔をしかめる。


こんな風に怒鳴ったりなんてしたくない。


別に頭にきている訳でもない。


でも、思いっきりぶつけないと、

このまま恭也と会えなくなってしまうから。


ただ、必死なだけ。



恭也は背中を向けると棚に並んだボトルに手を掛ける。



そして低く静かな声で話し始めた。


「少しお前に関わり過ぎたみたいだな。


言っておくけど、

お前がどれだけ俺に懸想しようとも俺がお前を相手にする事はない。


わざわざ傍に居て身を焼く事もないだろ」



───それでもいいから恭也の傍に居たい。


心の中でそう呟くけど、


あたしの口から出た言葉は……

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