艶麗な夜華
恭也の話を全て聞いた愛華は、


真剣な顔からいつもの笑顔へと変わる。



「この話を俺にしたのはなにかの忠告?


今後俺の店が、恭也の店によって閑古鳥が鳴く日が増えるかもね的な?」



「お前の店が影響を受ける筈がないだろ。


あれだけ客をしっかり握ってるんだ。


どうせタクミの店の影響で暇だってのも嘘なんだろ?」



そう……なの?



恭也の言葉に笑みを浮かべる愛華。



「なら、この事を話したのは、


俺に協力を仰いでるって解釈していいんだね。


でもそれはまったくもって俺に?」



「メリットはない」



「ははははっ」



「フッ」



笑い合う2人。



嫌いな相手同士なのに、


どうしてこんな風に話がまとまるのかはわからない。


でもきっとそれは、お互いがお互いを認め合っているから。


嫌いだから相手を蹴落とすとか裏切るとか、


そんなものはこの2人の中には存在しないんだ。

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