生きて 強く
《1》
秋の風が私の長い髪を揺らし、頬を撫でる。


まだ夏の暑さを少し含んでいるが、幾分かは涼しくなってきた。



風を感じながらゆっくりと目を閉じて、小さく深呼吸をする。



「ハァーー。落ち着いた……」



そう呟いて無理やり笑ってみる。



そしてまた深呼吸して笑う。




何度も何度も繰り返しても、全然心が晴れてくれない。



本気で笑えない。



滲んでいく視界。



「あ~あ……、前が見えない。
何でかな?
ハハ……ハハハハ……。
好き……大好きだったのに……んで、なの?
ううっ、ううう……」

 

涙が頬を流れていくのを、止める事が出来なかった。






今日、神月 澪の初恋が終わった……。
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