生きて 強く
保健室へと向かおうとする私の横から、離れようとしない夏彩。



「ん? 私、保健室行くよ?」



「私も行く。
1人で行かせるわけないじゃん」



いつもはそんな優しい言葉を嬉しく感じるのに、今の私には煩わしく感じた。



「だ、大丈夫だよ。1人で行けるよ」



「一緒に行くってば」



「いいよ! 1人で大丈夫だって!」



夏彩の体を教室の方向へと押すと、彼女は怒ったような顔つきになった。



「遠慮することないって!
私も行きたいんだから、行く。
それで良いじゃん!」


この怒ったような顔、前にも見たことがあった。



それは、裕一郎に告白すると決めた日。



裕一郎を呼び出してしまったのに、私が恥ずかしがってなかなか一歩を踏み出す事が出来なかった。


その時にウジウジした私の態度に腹を立てた夏彩が、背中を押してきた。



あの時と、同じ顔をしているように見えた。
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