生きて 強く
「ご、めん…」



そう言った所で、誰もいないはずの保健室の中で、自分の声じゃない別の音が私の鼓膜を震わす。



音はカーテンで仕切られた、隣のベッドの方から聞こえてくるようだった。



そう、見えなかっただけで、本当はこの保健室に存在するのは私だけじゃなかったのだ。



ジャッッと音を立てて、傍のカーテンが開かれる。


「あっ! あなた……」



「この声、やっぱり神月か……。
また、泣いてんのかお前……」



隣のベッドで寝ていたのは、クラスメイトの

海音寺 聖

だった。
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