生きて 強く
それなのに海音寺くんは、こっちを見て満面の笑みを浮かべてきた。


しかも、恥ずかしい言葉付きで。



「神月、泣いた顔より、怒った顔の方が可愛いよ」



そう笑って膨らませた頬に触れてきた。


初めて話す人なのに、突然顔を触ってくるなんて信じられない。


しかも彼の手は思いの外冷たくて、そのヒンヤリとした手の感触に体がゾワリとした。


私は眉間にしわを寄せながら、軽々しく触れてくる手を払いのけた。



「ちょっ! 触んないでよ!
馴れ馴れしい!!」



「い~じゃんちょっとぐらい。これが駄目ならこうだ!」



「ちょっと! やめ、やめて!
キャハッ、アハハハハハハっ!」



素早い動きで脇をくすぐられた。



身を捩って抵抗しようとするが、
くすぐったすぎて笑いも止まらず、上手く抵抗出来ない。
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