生きて 強く
一頻りくすぐった後、海音寺くんはパッと脇から手を離して私を解放した。



「くふふっ……んも~、何すんのよ~もぉー」



「泣いたのより、笑った顔が見たかったから。
笑った顔の方がすげー可愛いよ」



どうしてそんな恥ずかしくて顔から火が出てしまいそうなことを、
易々と言えるのだろうか。



きっと今私の顔は、真っ赤に染まってるんだろうな。


本当に恥ずかしい……。



「も、もぉー……何言ってんの?
海音寺くんってタラし?
女の子皆にそんな事言ってんじゃないの?」



きっと赤くなっている顔を見られないように、
俯き加減になりながら彼を睨みつけてやる。


そんな私を見て海音寺くんは、苦笑いしながらまた頬に触れてきた。



「いや…さ、神月は絶対笑った顔の方が可愛いだろうなと思って。
てゆーか女は皆、笑った顔の方が可愛いだろ。普通~」



その答えを聞いた途端何故か顔が熱くなり、
私の中でぷつぷつと怒りが沸き起こってくるのが分かった。



「なっにそれ?!
やっぱりタラしだ!
じゃあ、さっきみたいに女の子皆に、可愛い可愛いって言いまくってるんだ!」


「言いまくりってのは無いだろ?」


「ふんっ! どうだか?
このタラしっ!
むっつりスケベ!」


「なんでむっつりスケベになるんだ!」



「変態! もう近寄らないで!」



なんで今日初めて話した人に、こんなに酷いこと言ってるんだろう?



きっと日頃言われ慣れていないことを言われたから、
恥ずかしくて頭が爆発してしまいそうになってるんだ。



私は彼の体を押しのけながらベッドから降りて、
その場を立ち去ろうとする。
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