生きて 強く
『他に好きな人が出来た。
俺、夏彩の事が好きなんだ。だから、
別れよ……』
夏彩……橋川 夏彩。
恋の応援をしてくれた私の友達だった。
夏彩はすごく可愛くて、明るくて勉強も運動も出来る自慢の友達。
普通はそんな子を好きになるに決まってるよね。
ああ、やっぱり初恋は上手くいかないって
そんなこと、始めから分かってた事だったのに……
何夢見てたんだろ?
別れを告げられた後、悲しみでフラつく足を引きずって屋上に行った。
落ち込んだ時や、辛いことがあった時は、ここに来て景色を眺めながら風にあたると元気が出たから。
でも、今日は……
「今でも、す、き…好きなんだよぉ裕一郎ぉー!
うぅっ、ああぁ」
ぼやける視界、キュゥッと痛くなる鼻。
『本当に、大好きだったよ』
裕一郎の去り際の言葉、何もかもが私を悲しくさせ胸を締め付けた。
そこで、さっき閉めた屋上と校内を繋ぐ扉が勢い良く開けられた。