生きて 強く
「み~お!
やっぱお前ここにいたんか!」
ズボンのポケットに手を突っ込んで、笑いながらこちらに近付いて来た、男子生徒。
波倉 琢也
琢也と夏彩2人が私の背中を押してくれた友達だ。
琢也は傍まで近寄ってきて、私の顔をのぞき込んできた。
涙を見られたら恥ずかしい。
そう思い慌てて顔を逸らそうとしたが、肩を掴まれてそれを阻止されてしまった。
「おっせ~よ!
もう見た。何泣いてんだよお前は?
そんな目ぇ腫らしたら、余計ブサイクになるぞ?」
憎まれ口を叩きながらも、優しく頭を撫でてくれる手が
温かくて余計に視界が滲む。
琢也は本当に不器用で良い奴だ。