生きて 強く
それでも琢也は、今も優しく頭を撫でながら、黙って全てを言い終わるまで待っていてくれる。



「私、私ね……、
フられちゃった、けど、ううっ、まだ、裕一郎が好き。
初恋だったんだもん!
ひっく、ううう……
忘れられるわけ、ない…よ。
ずっと好き。」



思った事を口に出して、恥ずかしい気持ちになったけど、
この気持ちを消すことなんて出来なかった。


裕一郎と一時でも恋人同士だったという、この奇跡みたいな事実は永遠に私の心中で輝き続けていく。


心の内を全て吐き出した所で、フッと琢也が笑った気配がした。


それが分かった途端急に顔が熱くなった。



「ちょっとーー!!
私は真面目に話してんだよ!
琢也はこういう時はバカにしない奴だと思ってたのに~」



悔しくなって、目の前の大きな固い胸を叩いていると
その忙しなく動く手を掴まれた。
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