エリート室長の甘い素顔
18
安藤はリビングに入ってくるとすぐ、ニッコリと微笑んだ。
そしてオロオロする母の顔を見つめてこう言った。
「お母さん、お気遣いは無用です。実は悠里さんには一番最初にお会いしたときに振られていました」
「え……?」
雪枝おばさまも驚いた顔で振り返り、安藤を見つめる。
安藤は苦笑を浮かべた。
そして大谷のほうに顔を向けて、軽く頭を下げる。
「大谷さん、この間はどうも」
その言葉で、悠里を除く全員が大谷を振り返った。皆、目を驚愕に見開いている。
大谷は軽く目を見張った後、鷹揚にうなずいてみせた。
「ああ……娘が世話になりました」
「え? 二人、お知り合いなの?」
母と弟は、大谷と安藤の顔を交互に見つめる。
その質問には安藤が答えた。
「この間、悠里さんからもう一度振られてしまった時、最後だからとデートに付き合ってもらいました。そこで偶然、娘さんと一緒にいる大谷さんにお会いしたんです」
安藤は自嘲的な笑みを浮かべて、また口を開いた。
「僕は最初から、悠里さんの正直な気持ちをお聞きしていました。『ずっと好きな人がいる』と。見合いに来たのは、これで最後だと言われたからだって」
雪枝おばさまと母は呆然として、その後責めるように悠里を見た。
「……ごめんなさい」
悠里は小さくなって肩をすくめる。
だが安藤が申し訳なさそうな顔をして、フォローしてくれた。
「いいんです。僕は悠里さんのその正直なところに惹かれたんですから。でも片想いだとおっしゃるので、僕はこれ幸いとその隙につけ込むことにしました」
そしてオロオロする母の顔を見つめてこう言った。
「お母さん、お気遣いは無用です。実は悠里さんには一番最初にお会いしたときに振られていました」
「え……?」
雪枝おばさまも驚いた顔で振り返り、安藤を見つめる。
安藤は苦笑を浮かべた。
そして大谷のほうに顔を向けて、軽く頭を下げる。
「大谷さん、この間はどうも」
その言葉で、悠里を除く全員が大谷を振り返った。皆、目を驚愕に見開いている。
大谷は軽く目を見張った後、鷹揚にうなずいてみせた。
「ああ……娘が世話になりました」
「え? 二人、お知り合いなの?」
母と弟は、大谷と安藤の顔を交互に見つめる。
その質問には安藤が答えた。
「この間、悠里さんからもう一度振られてしまった時、最後だからとデートに付き合ってもらいました。そこで偶然、娘さんと一緒にいる大谷さんにお会いしたんです」
安藤は自嘲的な笑みを浮かべて、また口を開いた。
「僕は最初から、悠里さんの正直な気持ちをお聞きしていました。『ずっと好きな人がいる』と。見合いに来たのは、これで最後だと言われたからだって」
雪枝おばさまと母は呆然として、その後責めるように悠里を見た。
「……ごめんなさい」
悠里は小さくなって肩をすくめる。
だが安藤が申し訳なさそうな顔をして、フォローしてくれた。
「いいんです。僕は悠里さんのその正直なところに惹かれたんですから。でも片想いだとおっしゃるので、僕はこれ幸いとその隙につけ込むことにしました」