エリート室長の甘い素顔
 近付いてきた理子は、大谷の隣で手を繋がれたままの悠里を見て、元から大きな目を更に大きく見開いた。

「水族館で会った人だ!」

「こんにちは、理子ちゃん」

 理子はまじまじと悠里の顔を見つめてから、首を傾げた。

「……あの、イケメン彼氏は?」


(安藤さんのこと?)

 悠里はこんな小さな女の子から見ても、やはり彼はイケメンなんだな……などと思いつつ答える。

「あの人は彼氏じゃないの。お友だち」

 すると理子は、大谷とよく似た意味ありげな笑みを口端に浮かべた。

「ふ~ん……やるじゃん、お父さん」


「何だよ」

 大谷が軽く眉根を寄せてみせると、理子はニヒヒっと笑った。

「あのイケメンより、お父さんのほうが良かったってことでしょ。お姉さん、見る目あるね」

 大谷も悠里も目を丸くして、互いを見つめ合う。

「……愛されてますね、お父さん」

「当然だろ」

 悠里がクスッと笑うと、理子もおかしそうに笑いだした。

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