エリート室長の甘い素顔
(ああ……これはモテそう)
どう考えても、見合いで結婚相手を探さなければいけない人だとは思えない。
一体どんな手を使って彼をここまで引っ張ってきたのか――
悠里は雪枝おばさまの手腕に感心するとともに、彼に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
(ごめんなさい、相手がこんな三高女で)
事前に確認した釣書には、悠里に勝るとも劣らない学歴と立派な職歴(国家公務員でしかもキャリア!)が書かれていた。
この条件で相手が見つからないなんて、よほど風変わりな人か、もしくはおかしな性癖でもあるのかと思っていたのに。
(いや、性癖はまだわからないか……)
悠里が困ったり眉間にシワを寄せてしかめっ面をしたりしていたので、目の前に立ったその彼――安藤八尋(あんどうやひろ)氏は少し戸惑った表情を浮かべていた。
「あの……初めまして。安藤です」
爽やかな声で話しかけられて、悠里はほうっと感心のため息を吐いた。
(近くで見るとますます……)
「松村悠里です。初めまして」
そう言って軽く頭を下げたら、彼は少しだけホッとしたのか柔らかい笑顔を見せた。
どう考えても、見合いで結婚相手を探さなければいけない人だとは思えない。
一体どんな手を使って彼をここまで引っ張ってきたのか――
悠里は雪枝おばさまの手腕に感心するとともに、彼に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
(ごめんなさい、相手がこんな三高女で)
事前に確認した釣書には、悠里に勝るとも劣らない学歴と立派な職歴(国家公務員でしかもキャリア!)が書かれていた。
この条件で相手が見つからないなんて、よほど風変わりな人か、もしくはおかしな性癖でもあるのかと思っていたのに。
(いや、性癖はまだわからないか……)
悠里が困ったり眉間にシワを寄せてしかめっ面をしたりしていたので、目の前に立ったその彼――安藤八尋(あんどうやひろ)氏は少し戸惑った表情を浮かべていた。
「あの……初めまして。安藤です」
爽やかな声で話しかけられて、悠里はほうっと感心のため息を吐いた。
(近くで見るとますます……)
「松村悠里です。初めまして」
そう言って軽く頭を下げたら、彼は少しだけホッとしたのか柔らかい笑顔を見せた。