エリート室長の甘い素顔
04
目の前のテーブルに置かれたコーヒーを見つめる。
香ばしい香りが漂い、悠里はそれにゆっくりと手を伸ばした。
(そういえば……)
ふと、思い出す。
大谷は、コーヒーが飲めないのだ。
カップを慎重に持ち上げながら、悠里は安藤の質問について考える。
――私の好きな人の話が聞きたい、とか。
なぜこの人は、そんなことを知ろうとするのだろう?
得することは何もないと思うのだが――
「相手は、職場の上司です。バツイチで小学生の娘さんがいます」
そう言うと、安藤は軽く目を瞬かせた。
「独身なら何も問題ないでしょう? なぜ片思いなの?」
(うっ……)
痛いところを突いてくる。
そうなのだ。
ウジウジしてるくらいなら、とっとと告白してスッキリすればいいのだ。
「ヘタレなんです、単に……」
大きくため息を吐いてそう言うと、彼は首を傾げた。
「彼が? あなたのこと受け止めてくれないの?」
(いやいやいやっ)
悠里は思いきり首を横に振った。
「私です、私! 今の関係を変える勇気がないんです」
安藤はきょとんとしてしばらく考え込んだ後、少しだけ楽しげな笑みを浮かべた。
「話に聞いていた印象だと、あなたならとっとと告白して、ダメならさっさと次に行きそうな気がしてたんだけど……」
(はい?)
一体彼にどんな話をしたんだ、雪枝おばさまよっ!
香ばしい香りが漂い、悠里はそれにゆっくりと手を伸ばした。
(そういえば……)
ふと、思い出す。
大谷は、コーヒーが飲めないのだ。
カップを慎重に持ち上げながら、悠里は安藤の質問について考える。
――私の好きな人の話が聞きたい、とか。
なぜこの人は、そんなことを知ろうとするのだろう?
得することは何もないと思うのだが――
「相手は、職場の上司です。バツイチで小学生の娘さんがいます」
そう言うと、安藤は軽く目を瞬かせた。
「独身なら何も問題ないでしょう? なぜ片思いなの?」
(うっ……)
痛いところを突いてくる。
そうなのだ。
ウジウジしてるくらいなら、とっとと告白してスッキリすればいいのだ。
「ヘタレなんです、単に……」
大きくため息を吐いてそう言うと、彼は首を傾げた。
「彼が? あなたのこと受け止めてくれないの?」
(いやいやいやっ)
悠里は思いきり首を横に振った。
「私です、私! 今の関係を変える勇気がないんです」
安藤はきょとんとしてしばらく考え込んだ後、少しだけ楽しげな笑みを浮かべた。
「話に聞いていた印象だと、あなたならとっとと告白して、ダメならさっさと次に行きそうな気がしてたんだけど……」
(はい?)
一体彼にどんな話をしたんだ、雪枝おばさまよっ!