エリート室長の甘い素顔
05
「あなたが断るつもりでここへ来たことはわかりました。でも、もう少しだけ……僕にもチャンスをいただけませんか」
安藤の言葉に、悠里は考え込んだ。
(でも、お見合いの相手でしょう?)
普通なら見合いを断らないというのは、結婚前提の交際をスタートさせることと同じなんじゃ――?
すると、安藤はさらにこう言い募った。
「期限を設けてもいい。あなたが彼に告白するまで、というのはどうです?」
(は?)
悠里が驚きに目を剥くと、彼は微笑みながらも真剣な目をしてこちらを見返した。
「告白でもしない限り、結婚に踏ん切りなんかつかないでしょう? この際、彼と僕を徹底的に比較してみてください。あなたはご自分にとって良いと思うほうを選べばいい」
安藤は軽く身を乗り出すと、こちらをじっと見つめた。
「『人並みに結婚する気はある』と、おっしゃいましたよね?」
ニッコリと微笑まれ、頬が引きつったのが自分でもわかった。
(確かに言ったけど……)
キツネやタヌキの安藤に、問答で勝てる気はしない。
いずれは結婚したいという気持ちはある。
それは決して嘘ではない。
だがそれは――
「恋人として付き合う必要はありません。僕という人間のことを知ってもらえれば……。そうですね、男友だち程度に考えてくれたらいいです」
悠里はニッコリと笑った安藤を見て思った。
この微塵も隙のないイケメンが、男友だち――?
戸惑っていたら、安藤はこちらに手をスッと差し出してきた。
「では、そういうことでよろしく」
半ば強引に手を握られ、結局そのまま押しきられて、連絡先を交換した。
安藤の言葉に、悠里は考え込んだ。
(でも、お見合いの相手でしょう?)
普通なら見合いを断らないというのは、結婚前提の交際をスタートさせることと同じなんじゃ――?
すると、安藤はさらにこう言い募った。
「期限を設けてもいい。あなたが彼に告白するまで、というのはどうです?」
(は?)
悠里が驚きに目を剥くと、彼は微笑みながらも真剣な目をしてこちらを見返した。
「告白でもしない限り、結婚に踏ん切りなんかつかないでしょう? この際、彼と僕を徹底的に比較してみてください。あなたはご自分にとって良いと思うほうを選べばいい」
安藤は軽く身を乗り出すと、こちらをじっと見つめた。
「『人並みに結婚する気はある』と、おっしゃいましたよね?」
ニッコリと微笑まれ、頬が引きつったのが自分でもわかった。
(確かに言ったけど……)
キツネやタヌキの安藤に、問答で勝てる気はしない。
いずれは結婚したいという気持ちはある。
それは決して嘘ではない。
だがそれは――
「恋人として付き合う必要はありません。僕という人間のことを知ってもらえれば……。そうですね、男友だち程度に考えてくれたらいいです」
悠里はニッコリと笑った安藤を見て思った。
この微塵も隙のないイケメンが、男友だち――?
戸惑っていたら、安藤はこちらに手をスッと差し出してきた。
「では、そういうことでよろしく」
半ば強引に手を握られ、結局そのまま押しきられて、連絡先を交換した。