エリート室長の甘い素顔
「お前……よく手ぇ出せたなぁ」
大谷が呆けた顔でそう言うと、颯介はギョッとして目を剥いた。
「ちょっと、大谷さん! 語弊のある言い方しないでくださいよ。向こうも普通に成人してますから」
大谷が苦笑いして謝ると、颯介も肩を落とした。
「別に10才くらいの年の差なんて、ありがちな話でしょう?」
そうか? ……いや、そうだ。よく聞く話だ。
だが――
「自分のことになるとなぁ……」
無意識に口から出た言葉に、目ざとい颯介はすぐに反応した。
「やっとその気になりましたか? 彼女ももう30ですからね」
「……は?」
今度は大谷がギョッとして目を見開く。
「今ならまだ間に合うかな……でもあいつ、やり手だからな~……」
眉根を寄せてブツブツと呟く颯介に、大谷は怪訝な顔を向けた。
「何の話だ?」
「松村さんですよ。この間、偶然俺の友人と見合いしたらしくて」
「見合い……?」
颯介は真顔でじっと大谷を見つめる。
「松村さんは断ろうとしたらしいんですが、友人のほうが乗り気で。かなりデキる男なんで、松村さん、断るのに苦労するんじゃないかな」
(あいつが、見合い……)
そういえばつい先週、昼食を一緒に食べたとき、松村の様子がおかしかった。
おめでたの話を「いいなぁ」と羨ましがったり、退職する予定などないと、最後まで言い切らずにぼんやりしたり――
「大谷さん、いい加減腹くくったらどうですか?」
冗談混じりの言葉かと思いきや、颯介は真剣な顔をして、こちらをまっすぐに見つめていた。
大谷が呆けた顔でそう言うと、颯介はギョッとして目を剥いた。
「ちょっと、大谷さん! 語弊のある言い方しないでくださいよ。向こうも普通に成人してますから」
大谷が苦笑いして謝ると、颯介も肩を落とした。
「別に10才くらいの年の差なんて、ありがちな話でしょう?」
そうか? ……いや、そうだ。よく聞く話だ。
だが――
「自分のことになるとなぁ……」
無意識に口から出た言葉に、目ざとい颯介はすぐに反応した。
「やっとその気になりましたか? 彼女ももう30ですからね」
「……は?」
今度は大谷がギョッとして目を見開く。
「今ならまだ間に合うかな……でもあいつ、やり手だからな~……」
眉根を寄せてブツブツと呟く颯介に、大谷は怪訝な顔を向けた。
「何の話だ?」
「松村さんですよ。この間、偶然俺の友人と見合いしたらしくて」
「見合い……?」
颯介は真顔でじっと大谷を見つめる。
「松村さんは断ろうとしたらしいんですが、友人のほうが乗り気で。かなりデキる男なんで、松村さん、断るのに苦労するんじゃないかな」
(あいつが、見合い……)
そういえばつい先週、昼食を一緒に食べたとき、松村の様子がおかしかった。
おめでたの話を「いいなぁ」と羨ましがったり、退職する予定などないと、最後まで言い切らずにぼんやりしたり――
「大谷さん、いい加減腹くくったらどうですか?」
冗談混じりの言葉かと思いきや、颯介は真剣な顔をして、こちらをまっすぐに見つめていた。