エリート室長の甘い素顔
「松村ちゃん、見合いなんかしたの? なんで?」
桑名が眉間にシワを寄せて問い詰めてくる。
半分責められているようで、悠里は釈然としない気持ちになった。
「私だっていい年齢ですから。普通に結婚も出産もしたいですよ」
すると桑名は怒ったような顔で言い募る。
「そんな松村ちゃん! それじゃ大谷さ……っが、もごっ!」
微妙な言葉が出かかったところで、慌てて駆け寄った河野が背後から桑名の口を塞いだ。
そのまま彼を羽交い締めにする。
「ごめんね~松村さん。桑名、お前飲みすぎ」
桑名は口を塞がれながら悠里と大谷の顔を見て、すぐに冷静になったのか、みるみるうちに小さく縮こまった。
それを見て手を放した河野は、桑名を引きずって向こうの席に戻っていく。
残りのメンバーも会話を再開したものの、なんとなくこちらを気にする様子が見えた。
悠里はおもむろに立ち上がると、自分のコートとカバンを掴んだ。
それを見た大谷が顔色を変える。
「おい?」
せっかく皆が大谷を囲んで飲める機会なのに、台無しにするわけにはいかない。
それに悠里はこれ以上、大谷の口から見合いの話をされて、平静でいられる自信がなかった。
「ごめんなさい、仕事を思い出したので今日は帰ります」
「「ええっ!?」」
悠里の言葉に、河野と桑名が同時に叫んだ。
こんな風に突然帰っても、もしくはこの場に残っても、皆に気を遣わせることに変わりはない。
でもせめて自分がいなくなったほうが、この後の雰囲気はマシだという気がしたのだ。
「松村、待て」
大谷に呼び止められ、悠里はしっかりとヒールを履いてから振り返った。
「待ちません。お先に失礼します」
軽く頭を下げ、悠里は半分小走りでその場を後にした。
桑名が眉間にシワを寄せて問い詰めてくる。
半分責められているようで、悠里は釈然としない気持ちになった。
「私だっていい年齢ですから。普通に結婚も出産もしたいですよ」
すると桑名は怒ったような顔で言い募る。
「そんな松村ちゃん! それじゃ大谷さ……っが、もごっ!」
微妙な言葉が出かかったところで、慌てて駆け寄った河野が背後から桑名の口を塞いだ。
そのまま彼を羽交い締めにする。
「ごめんね~松村さん。桑名、お前飲みすぎ」
桑名は口を塞がれながら悠里と大谷の顔を見て、すぐに冷静になったのか、みるみるうちに小さく縮こまった。
それを見て手を放した河野は、桑名を引きずって向こうの席に戻っていく。
残りのメンバーも会話を再開したものの、なんとなくこちらを気にする様子が見えた。
悠里はおもむろに立ち上がると、自分のコートとカバンを掴んだ。
それを見た大谷が顔色を変える。
「おい?」
せっかく皆が大谷を囲んで飲める機会なのに、台無しにするわけにはいかない。
それに悠里はこれ以上、大谷の口から見合いの話をされて、平静でいられる自信がなかった。
「ごめんなさい、仕事を思い出したので今日は帰ります」
「「ええっ!?」」
悠里の言葉に、河野と桑名が同時に叫んだ。
こんな風に突然帰っても、もしくはこの場に残っても、皆に気を遣わせることに変わりはない。
でもせめて自分がいなくなったほうが、この後の雰囲気はマシだという気がしたのだ。
「松村、待て」
大谷に呼び止められ、悠里はしっかりとヒールを履いてから振り返った。
「待ちません。お先に失礼します」
軽く頭を下げ、悠里は半分小走りでその場を後にした。