エリート室長の甘い素顔
13
母は、入院中の父を毎日見舞って世話をしている。
だが父は、会話どころか目を合わせることもできず、指一本自ら動かすこともない。
そんな姿を毎日目にしている母は、日に日に落ち込みを増していった。
悠里も弟も、父より母のほうが心配になってきている。
会話がほとんどなくなり、常に下を向いていて表情がない。
疲れきって朝も起きられないようで、朝食の支度は悠里がするようになった。
ろくに食べていないのか、元々細い身体がますます細くなっている。
悠里は自分が家にいる間は、おかずを作り置きしたり、おにぎりを作ったりして何とか母に食べさせようとしている。
だが、母は力無く首を横に振り、すぐに自室へ籠もってしまうのだ。
弟とも相談し、収入の面から悠里のほうがなるべく多く仕事に行けるよう調整しているが、対応にも限りはある。
このままいくと、有給など二人ともあっという間に使い切って、欠勤から減給になるのは目に見えていた。
それに職場にかける迷惑にも限りはある。
弟はまだ新人だ。理由はどうあれそう頻繁に休むわけにはいかない。
だが、この状態の母を放っておくことも出来なかった。
下手すると、母のほうが参って倒れてしまう。
今はまだ、父が病院にいるからマシなのだ。
退院して本格的な介護が始まったら、母はどうなってしまうのだろう。
(施設も検討するべきなのかも……)
本当なら、家族を施設などに入れたくはない。
だが介護をするにはまだ若い父を家に連れて帰ったら、この先何年この状態が続くかわからないのだ。
(こんなことを考えるなんて……)
自分がものすごく薄情な人間に思えてくる。
だが父は、会話どころか目を合わせることもできず、指一本自ら動かすこともない。
そんな姿を毎日目にしている母は、日に日に落ち込みを増していった。
悠里も弟も、父より母のほうが心配になってきている。
会話がほとんどなくなり、常に下を向いていて表情がない。
疲れきって朝も起きられないようで、朝食の支度は悠里がするようになった。
ろくに食べていないのか、元々細い身体がますます細くなっている。
悠里は自分が家にいる間は、おかずを作り置きしたり、おにぎりを作ったりして何とか母に食べさせようとしている。
だが、母は力無く首を横に振り、すぐに自室へ籠もってしまうのだ。
弟とも相談し、収入の面から悠里のほうがなるべく多く仕事に行けるよう調整しているが、対応にも限りはある。
このままいくと、有給など二人ともあっという間に使い切って、欠勤から減給になるのは目に見えていた。
それに職場にかける迷惑にも限りはある。
弟はまだ新人だ。理由はどうあれそう頻繁に休むわけにはいかない。
だが、この状態の母を放っておくことも出来なかった。
下手すると、母のほうが参って倒れてしまう。
今はまだ、父が病院にいるからマシなのだ。
退院して本格的な介護が始まったら、母はどうなってしまうのだろう。
(施設も検討するべきなのかも……)
本当なら、家族を施設などに入れたくはない。
だが介護をするにはまだ若い父を家に連れて帰ったら、この先何年この状態が続くかわからないのだ。
(こんなことを考えるなんて……)
自分がものすごく薄情な人間に思えてくる。