エリート室長の甘い素顔
安藤のことは嫌いではない。
むしろ好ましいタイプだ。好条件が整いすぎてて騙されてるんじゃないかと疑いたくなるほどに。
だが悠里の心の中には、常に真ん中にドンと居座って、決して動かない男がいる。
彼も今、悠里を支えてくれている一人だ。
仕事でも、気持ちの上でも、力強く支えられている。
(大谷さんと結婚……)
それが出来るなら――それこそが悠里の望みだった。
だが、弟の言うとおりだ。
この先何年父の介護が続くのかわからない状況で、そんな自分と「結婚してほしい」なんて言えない。
好きだからこそ、相手の負担になりたくはない。
安藤の申し出がどんなにありがたいものなのか、悠里にだって分かっている。
「もうすぐご飯、出来ますよ」
台所から、安藤の声が響いた。
「おお~すげぇ」
速攻で立ち上がった弟は、ダイニングに並べられた皿を見て感動している。
悠里も立ち上がり顔を上げれば、安藤が「どうですか?」と得意げに笑ってみせた。
悠里もクスッと笑うと「食べてみないことには、なんとも」と返し、それを聞いていた母に「こらっ」と頭を叩かれた。
「あんたたちは手伝いもしないで! 文句言ったら許さないわよ」
すっかりいつもの調子が戻った母を見て、悠里は安藤に深く感謝した。
むしろ好ましいタイプだ。好条件が整いすぎてて騙されてるんじゃないかと疑いたくなるほどに。
だが悠里の心の中には、常に真ん中にドンと居座って、決して動かない男がいる。
彼も今、悠里を支えてくれている一人だ。
仕事でも、気持ちの上でも、力強く支えられている。
(大谷さんと結婚……)
それが出来るなら――それこそが悠里の望みだった。
だが、弟の言うとおりだ。
この先何年父の介護が続くのかわからない状況で、そんな自分と「結婚してほしい」なんて言えない。
好きだからこそ、相手の負担になりたくはない。
安藤の申し出がどんなにありがたいものなのか、悠里にだって分かっている。
「もうすぐご飯、出来ますよ」
台所から、安藤の声が響いた。
「おお~すげぇ」
速攻で立ち上がった弟は、ダイニングに並べられた皿を見て感動している。
悠里も立ち上がり顔を上げれば、安藤が「どうですか?」と得意げに笑ってみせた。
悠里もクスッと笑うと「食べてみないことには、なんとも」と返し、それを聞いていた母に「こらっ」と頭を叩かれた。
「あんたたちは手伝いもしないで! 文句言ったら許さないわよ」
すっかりいつもの調子が戻った母を見て、悠里は安藤に深く感謝した。