エリート室長の甘い素顔
「大谷さん……好き」
今初めて、悠里はその言葉を口にした。
「ああ……知ってる」
大谷は笑ってそう答えた。
だが、悠里は何度も首を横に振る。
「わかってないっ……私が、どんなに……」
声に涙が滲んだ。
大谷は宥めるように悠里の背中を撫でて、首すじに顔を埋める。
「いつも言ってんだろ。お前はわかりやすいんだよ。わかってねーのは、俺じゃなくてお前だ」
(私……?)
怪訝に思いながら大谷の顔を見ると、その表情を窺う間もなく、また唇を奪われた。
事が終わると、愉悦の名残でぼんやりとしたまま大谷の腕の中に囲われる。
悠里は涙でグチャグチャになった目元を手で拭って、大谷の胸に頬をすり寄せた。
「松村……お前、いつまでいられる?」
ふいにそう聞かれて、悠里は急速に襲われた眠気に逆らいながら目を瞬いた。
「え? あ……ここに?」
「見舞いとか、家のこととかやらなくちゃならねーんだろ?」
悠里は少し考えて、夢うつつに答えた。
「……本当は、家族が起きる前に……でも……離れたく、ない……」
大谷の腰に腕を回して抱きつくのと同時に、意識が薄れた。
悠里はもうこの辺の記憶も曖昧なまま――
大谷は暗闇の中、眠りに落ちた悠里の身体を抱きしめながら、一人目を丸くしていた。
今初めて、悠里はその言葉を口にした。
「ああ……知ってる」
大谷は笑ってそう答えた。
だが、悠里は何度も首を横に振る。
「わかってないっ……私が、どんなに……」
声に涙が滲んだ。
大谷は宥めるように悠里の背中を撫でて、首すじに顔を埋める。
「いつも言ってんだろ。お前はわかりやすいんだよ。わかってねーのは、俺じゃなくてお前だ」
(私……?)
怪訝に思いながら大谷の顔を見ると、その表情を窺う間もなく、また唇を奪われた。
事が終わると、愉悦の名残でぼんやりとしたまま大谷の腕の中に囲われる。
悠里は涙でグチャグチャになった目元を手で拭って、大谷の胸に頬をすり寄せた。
「松村……お前、いつまでいられる?」
ふいにそう聞かれて、悠里は急速に襲われた眠気に逆らいながら目を瞬いた。
「え? あ……ここに?」
「見舞いとか、家のこととかやらなくちゃならねーんだろ?」
悠里は少し考えて、夢うつつに答えた。
「……本当は、家族が起きる前に……でも……離れたく、ない……」
大谷の腰に腕を回して抱きつくのと同時に、意識が薄れた。
悠里はもうこの辺の記憶も曖昧なまま――
大谷は暗闇の中、眠りに落ちた悠里の身体を抱きしめながら、一人目を丸くしていた。