エリート室長の甘い素顔
17
悠里が着てきたのはシンプルな細身のパンツにセーターとコート。
持ってきたバッグに入っているのは、財布と小さな化粧ポーチのみだ。
洗面台の鏡の前で、日焼け止め代わりのファンデーションを薄く塗り、ポーチからリップクリームを取り出す。
するとふいに横へ並んだ大谷が「ちょっと待て」と言った。そして振り返った悠里にキスをする。
「ん!?」
「……それ、塗る前にな」
大谷はリップクリームを指してそう言い、何事もなかったかのように洗面台を離れていく。
(な、何を……)
呆然としながら鏡に向き直れば、真っ赤に染まった自分の顔が映った。
「はぁ~」
彼と一緒にいると、心臓が保たない。
リビングに戻ると、大谷はなぜかワイシャツにスーツを着て、ネクタイは締めずにポケットにしまっている。
「え? これから仕事ですか?」
スケジュール表にそんな予定はなかったはずだ。
「いや……他にそれっぽい服ねーから」
(……それっぽいって何?)
悠里が怪訝な顔をすると、大谷は「ほら、行くぞ」と言って玄関に向かった。
持ってきたバッグに入っているのは、財布と小さな化粧ポーチのみだ。
洗面台の鏡の前で、日焼け止め代わりのファンデーションを薄く塗り、ポーチからリップクリームを取り出す。
するとふいに横へ並んだ大谷が「ちょっと待て」と言った。そして振り返った悠里にキスをする。
「ん!?」
「……それ、塗る前にな」
大谷はリップクリームを指してそう言い、何事もなかったかのように洗面台を離れていく。
(な、何を……)
呆然としながら鏡に向き直れば、真っ赤に染まった自分の顔が映った。
「はぁ~」
彼と一緒にいると、心臓が保たない。
リビングに戻ると、大谷はなぜかワイシャツにスーツを着て、ネクタイは締めずにポケットにしまっている。
「え? これから仕事ですか?」
スケジュール表にそんな予定はなかったはずだ。
「いや……他にそれっぽい服ねーから」
(……それっぽいって何?)
悠里が怪訝な顔をすると、大谷は「ほら、行くぞ」と言って玄関に向かった。