エリート室長の甘い素顔
そこで弟がニヤニヤしながら横から口を出した。
「母ちゃん、とりあえず上がってもらったら」
「ええ? そうだけど……でも……」
急な来訪に戸惑う母に、大谷が頭を下げる。
「突然お邪魔して申し訳ありません。今日はご挨拶と……お許しをいただきに参りました」
その言葉で、母は目を大きく見開く。
「お許しって……」
「はい。悠里さんと結婚したいと思っています」
母は口を開いたまま、その場で固まってしまった。
その言葉を大谷の背後で聞いていた悠里は、信じられない気持ちと、嬉しくて飛び上がりたい気持ちでいっぱいになる。
だがそれと同時にダメだと――彼に大きな負担を強いることになる決断を止めなければならないという気持ちが湧いてきて、大きく揺れた。
付き合うのはいいとしても、結婚までは――
今朝、悠里が思ったのはそれだった。
結婚はできない。
それを彼に伝えてこの先の付き合いを断られたら、それも仕方ないと思っていた。
「ダメです、大谷さん」
「あ?」
「だって、わかってるんですか? 私も家族も、これからずっと介護です。それも何年続くかわからないのにっ」
悠里が必死に訴えるのを、大谷は険しい顔をして振り返った。
「お前な……俺がそれをわかってないとでも思うのか?」
「じゃあなんで……だって、ダメですよ……」
見上げた大谷は、真剣な目でまっすぐに悠里を見つめた。
「ダメじゃねーよ! 言っただろ、俺にできることはなんでもするって」
とうとうまた、涙が溢れ出す。
悠里が下を向いてボロボロと泣き出すと、大谷はそっと悠里の肩を抱いた。
「母ちゃん、とりあえず上がってもらったら」
「ええ? そうだけど……でも……」
急な来訪に戸惑う母に、大谷が頭を下げる。
「突然お邪魔して申し訳ありません。今日はご挨拶と……お許しをいただきに参りました」
その言葉で、母は目を大きく見開く。
「お許しって……」
「はい。悠里さんと結婚したいと思っています」
母は口を開いたまま、その場で固まってしまった。
その言葉を大谷の背後で聞いていた悠里は、信じられない気持ちと、嬉しくて飛び上がりたい気持ちでいっぱいになる。
だがそれと同時にダメだと――彼に大きな負担を強いることになる決断を止めなければならないという気持ちが湧いてきて、大きく揺れた。
付き合うのはいいとしても、結婚までは――
今朝、悠里が思ったのはそれだった。
結婚はできない。
それを彼に伝えてこの先の付き合いを断られたら、それも仕方ないと思っていた。
「ダメです、大谷さん」
「あ?」
「だって、わかってるんですか? 私も家族も、これからずっと介護です。それも何年続くかわからないのにっ」
悠里が必死に訴えるのを、大谷は険しい顔をして振り返った。
「お前な……俺がそれをわかってないとでも思うのか?」
「じゃあなんで……だって、ダメですよ……」
見上げた大谷は、真剣な目でまっすぐに悠里を見つめた。
「ダメじゃねーよ! 言っただろ、俺にできることはなんでもするって」
とうとうまた、涙が溢れ出す。
悠里が下を向いてボロボロと泣き出すと、大谷はそっと悠里の肩を抱いた。