月見酒 〜天然彼女と俺様彼氏の別れ〜
私が彼――いつだって強引で俺様で、自信満々だった男――と別れてから、どのくらい経っただろうか。
あれから私を取り巻く時間は、早かったような遅かったような、そんな不思議な流れ方をしていた。
――私にとって彼は、生まれて初めてできた『彼氏』という存在だった。
私から告白して、4年間。
ケンカしたり別れそうになりながら進んで行って――結局、終わりを告げたのも私だった。
そうして分かったのは、『彼氏』がいなくなっても意外と私の日常は変わらなかったってこと。
月に一度のデートの日がなくなった。
季節ごとにやってくるイベントに張り切ることがなくなった。
プレゼントに何をあげれば喜ぶのか悩むことがなくなった。
でも、それだけ。
もともと日常生活が忙しかった私にとってそれは『用事が減った』というだけで、たまに二人で行った場所に自分だけで行っても「あの時は楽しかったなぁ」と思う程度だった。
――けれど一つだけ、この恋が終わって完膚無きまでに変わってしまったことがある。
それは。