チューリップの花束に愛を込めて
咲いた 咲いた
そんな淡い恋の始まりから、
あたし達はケンカして、仲直りして、笑い合って、今日から高校三年生になる。
『健太ー遅刻するよー!!』
あたしは健太の家の階段下から、健太の部屋に向かって、そう叫ぶ。
でも、返事はない。
『ったく~!!』
あたしはそう言いながら、階段を駆け上がる。
階段の最後の一段を登った、すぐ左の部屋が健太の部屋。
『健太!!』
あたしは迷わず健太のベッドにジャンプする。
『ぅおッ!!』
突然の重みにビックリしたのか健太は変な声を出して目を開けた。
『なんだ…亜季か…』
あたしの顔を見るなり、健太は再び目を閉じる。
『ちょっ!!健太、起きてってば!!』
健太の上に馬乗りになって、あたしは何度も健太を揺すった。
これが、あたしたちの朝。
『…健太、起きないんだ。
学校行かないと、由奈ちゃんに会えないね~』
あたしの言葉に健太がベッドの中でピクリと動いた。
『由奈ちゃん、モテるしな~、
今頃、誰かに告白されて付き合っちゃったりしてるのかもな~』
あたしの言葉に完全に健太は起きた。
『それはやばいやばい…』
そして、急いで着ていたものを、あたしがいることも気にせず、その場で脱ぎ始めた。
『ちょっ!…健太…!!』
『…へ…?』
あたしはすごい動揺してるのに、健太はあたしの態度にあっけらかんとしてる。
『着替えるなら着替えるって言ってよね!
…あたし、先、玄関にいってるから!!』
多分、あたしの顔は真っ赤。
そりゃぁそうでしょ?
だって、好きな人の上半身裸姿を見て、なんとも思わない訳がない。