優しい狼。
ひとしきり泣いた後、それでもまだ龍樹君にしがみつく私を龍樹君は軽々と抱きかかえ、いつからかそこに止まってあった車に乗り込み、車は行き先も告げず走り出した。
その車は私たちをある場所へと連れて行った。そこは大きな倉庫のようなところで、その前にはたくさんのバイクが止められ、そこら中に若い男が思い思いに過ごしていた。
だかこの車が敷地内へ入って行くとそれに気づいた男たちは慌ててこちらに頭を下げる。それらを全く気にせず車はそこで止まる。
車の中でどうしたらいいか分からずにいると先に降りた龍樹君がドアを開け降りるように促す。恐る恐る車から降りてみると、車の周りにきれいに整列した男たちが一斉に頭を下げる。
「「龍樹さん、お疲れ様ですっ!」」
その迫力におされ思わず龍樹君の後ろに隠れる。龍樹君は気にするそぶりも見せず、男たちの間をそのまま倉庫の中へと進んで行く。
男たちの目が怖かった。私を品定めするように見てくる男たち。その視線にビクビクしながらも龍樹君の後に続いた。
倉庫の中に何人かの若い男がいた。いったい外と合わせたら何人いるのだろう?
龍樹君は倉庫の一番奥の一つの部屋に入っていった。部屋に入るとそこにまたもや若い男が今度は三人いて
「龍樹、遅かったな。彼女、大丈夫だったか?」
そこにいた一人が龍樹君に声をかける。他の二人もこちらを見つめる。
「おう、心配かけたな。大丈夫。無事だった。そんで、この子が結だ。」
龍樹君は私を前に出す。
「…どうも…、春日結です…。」
ありきたりな自己紹介しかできなかったが男たちにはそんなことどうでもいいようで
「へぇ!!かわいいじゃん!!龍樹の彼女!うらやましいなぁ♪」
三人の中で一番幼く見える男が興味津々な様子で声を上げる。
「拓(たく)、落ち着け。彼女が引いてるし、こんな目にあったところなんだ。ちょっとは気遣え。」
その隣座っていたメガネの男がたしなめる。メガネのせいか、この場では一番まじめそうだし、大人な雰囲気をかもし出していた。
「龍樹、彼女に俺らのこと話したのか?」
この部屋に入ってはじめに声をかけてきた男が尋ねる。そこで気づいた。
「あ…、日野(ひの)先輩…!」
それは立つ貴君の友達で何度か見かけたことのある顔だった。
「久しぶりだね。結ちゃん」
改めて見回すと話したことは無いけれど、どこかで見たことのあるような顔ぶれだった。
その車は私たちをある場所へと連れて行った。そこは大きな倉庫のようなところで、その前にはたくさんのバイクが止められ、そこら中に若い男が思い思いに過ごしていた。
だかこの車が敷地内へ入って行くとそれに気づいた男たちは慌ててこちらに頭を下げる。それらを全く気にせず車はそこで止まる。
車の中でどうしたらいいか分からずにいると先に降りた龍樹君がドアを開け降りるように促す。恐る恐る車から降りてみると、車の周りにきれいに整列した男たちが一斉に頭を下げる。
「「龍樹さん、お疲れ様ですっ!」」
その迫力におされ思わず龍樹君の後ろに隠れる。龍樹君は気にするそぶりも見せず、男たちの間をそのまま倉庫の中へと進んで行く。
男たちの目が怖かった。私を品定めするように見てくる男たち。その視線にビクビクしながらも龍樹君の後に続いた。
倉庫の中に何人かの若い男がいた。いったい外と合わせたら何人いるのだろう?
龍樹君は倉庫の一番奥の一つの部屋に入っていった。部屋に入るとそこにまたもや若い男が今度は三人いて
「龍樹、遅かったな。彼女、大丈夫だったか?」
そこにいた一人が龍樹君に声をかける。他の二人もこちらを見つめる。
「おう、心配かけたな。大丈夫。無事だった。そんで、この子が結だ。」
龍樹君は私を前に出す。
「…どうも…、春日結です…。」
ありきたりな自己紹介しかできなかったが男たちにはそんなことどうでもいいようで
「へぇ!!かわいいじゃん!!龍樹の彼女!うらやましいなぁ♪」
三人の中で一番幼く見える男が興味津々な様子で声を上げる。
「拓(たく)、落ち着け。彼女が引いてるし、こんな目にあったところなんだ。ちょっとは気遣え。」
その隣座っていたメガネの男がたしなめる。メガネのせいか、この場では一番まじめそうだし、大人な雰囲気をかもし出していた。
「龍樹、彼女に俺らのこと話したのか?」
この部屋に入ってはじめに声をかけてきた男が尋ねる。そこで気づいた。
「あ…、日野(ひの)先輩…!」
それは立つ貴君の友達で何度か見かけたことのある顔だった。
「久しぶりだね。結ちゃん」
改めて見回すと話したことは無いけれど、どこかで見たことのあるような顔ぶれだった。