蕾の妖精たち
「お前たち、そこで何をやっている」
建築現場の管理人だろうか。
住み込みで一人残っていたらしい。
「あれぇ、その制服。お嬢さん学校のものじゃねぇのか?」
懐中電灯から漏れた光で、よく焼けた頬が、にやりと笑う。
男は首に白いタオルを巻いていた。
顔は自体は、暗くてよく見えない。
「アンタは何だ? そのバッヂ。校章じゃないか。なんだ先公か。いいのかい? 教師と生徒がそんな事してさ」
「何だと?」
翠川は立ち上がろうとした。
「まあ、待てや。とにかく早く帰んな。既にお宅らは不法侵入なんだぜ」
不法侵入と言われて、翠川は怯んだ。
「あっちだよ」
男は懐中電灯で出口を照らすと、二人を立ち去らせた。
煙草を一本くわえて、男は夜空を見上げる。
「この暑苦しい時に、暑苦しいことをしやがる」
そうは言ったものの、男はクスクスと、笑いが止まらなかった。
第二章
「交点」
完結
建築現場の管理人だろうか。
住み込みで一人残っていたらしい。
「あれぇ、その制服。お嬢さん学校のものじゃねぇのか?」
懐中電灯から漏れた光で、よく焼けた頬が、にやりと笑う。
男は首に白いタオルを巻いていた。
顔は自体は、暗くてよく見えない。
「アンタは何だ? そのバッヂ。校章じゃないか。なんだ先公か。いいのかい? 教師と生徒がそんな事してさ」
「何だと?」
翠川は立ち上がろうとした。
「まあ、待てや。とにかく早く帰んな。既にお宅らは不法侵入なんだぜ」
不法侵入と言われて、翠川は怯んだ。
「あっちだよ」
男は懐中電灯で出口を照らすと、二人を立ち去らせた。
煙草を一本くわえて、男は夜空を見上げる。
「この暑苦しい時に、暑苦しいことをしやがる」
そうは言ったものの、男はクスクスと、笑いが止まらなかった。
第二章
「交点」
完結