蕾の妖精たち
安っぽい居酒屋に立ち寄り、翠川は一人で飲んだ。
千鳥足で夜中に自宅のマンションに戻って来ると、翠川の部屋の前で、白いパンツスタイルの舞子が立っていた。
「あ、おめでとう。クラス担任ですね」
「孝之、酔ってるわね。早く中に入れて頂戴」
「分かりました。今、鍵を出しますから」
「貸して。私が開けるわ」
翠川の部屋は、まだ未開封の段ボール箱が残っていた。
舞子はコップに水を汲んで、床に座り込んでいた翠川に飲ませた。
「落ち着いたら、話を聞かせてくれない?」
「話? どうせ何でもご存じなのでしょう」
「学校での処分の件は、知っているわ。私が知りたいのは、相川幸乃っていう子に対する貴方のことよ」
「幸乃? ああ、わかりました。お話ししますよ」
「茶化さないで」
コップの水を飲み干し、翠川の目の色が戻る。
舞子を見据えて、少しずつ話し出した。
「僕が大学生だった頃、街の丘の上で、強姦事件があったことを覚えていますか」
「ええ、覚えているわ。犯人は斎藤和志。たしか同じゼミにもいたわね」
「そう、彼が犯人だった。そして、私が捕まえた」
「有罪で服役したわね。懲役三年」
「彼は三年間、服役する筈だった。しかし、彼は全う出来ずに命を絶った。看守の目を盗んで、首を吊って死んだのです」
「あら、そうだったの」
千鳥足で夜中に自宅のマンションに戻って来ると、翠川の部屋の前で、白いパンツスタイルの舞子が立っていた。
「あ、おめでとう。クラス担任ですね」
「孝之、酔ってるわね。早く中に入れて頂戴」
「分かりました。今、鍵を出しますから」
「貸して。私が開けるわ」
翠川の部屋は、まだ未開封の段ボール箱が残っていた。
舞子はコップに水を汲んで、床に座り込んでいた翠川に飲ませた。
「落ち着いたら、話を聞かせてくれない?」
「話? どうせ何でもご存じなのでしょう」
「学校での処分の件は、知っているわ。私が知りたいのは、相川幸乃っていう子に対する貴方のことよ」
「幸乃? ああ、わかりました。お話ししますよ」
「茶化さないで」
コップの水を飲み干し、翠川の目の色が戻る。
舞子を見据えて、少しずつ話し出した。
「僕が大学生だった頃、街の丘の上で、強姦事件があったことを覚えていますか」
「ええ、覚えているわ。犯人は斎藤和志。たしか同じゼミにもいたわね」
「そう、彼が犯人だった。そして、私が捕まえた」
「有罪で服役したわね。懲役三年」
「彼は三年間、服役する筈だった。しかし、彼は全う出来ずに命を絶った。看守の目を盗んで、首を吊って死んだのです」
「あら、そうだったの」