ダンデライオン
「気に入った?」

そう聞いた俺に、
「うん、とっても気に入った!

忍兄ちゃん、ありがとう!」

アサちゃんは大切なもののようにリボンを胸に抱きしめた。

よかった、アサちゃんが気に入ってくれて。

ホッと胸をなで下ろした俺に、
「忍兄ちゃん、大好き!」

アサちゃんが嬉しそうに言った。

その言葉に、
「俺もアサちゃんのことが大好きだよ」

俺は答えた。

「じゃあ、大きくなったら麻子と結婚してくれる?」

続けてアサちゃんは嬉しそうに言った。

彼女が大人になった頃には、俺と交わした約束はすっかり忘れてしまっているだろう。
< 101 / 360 >

この作品をシェア

pagetop