ダンデライオン
「『富山薬局』のおばあちゃんがなすをおすそわけしてくれたの。

ものすごい量をくれたから、しばらくはなすの料理が続くわよ」

アサちゃんがよそってくれたみそ汁の具もなすだった。

「俺、なす好きだからいいよ」

俺は言った。

「…ああ、そうだったわね」

アサちゃんが少しガッカリしたと言うように言った。

「着替えてきたら?」

そう言ったアサちゃんに、
「ああ、すぐに着替えるよ」

俺は食卓を後にした。

今のやりとりって、何だか夫婦みたいだったな。

そう思っているのは俺だけかも知れないけど、別にいいか。

本当になるように俺が努力をすればいいだけの話である。
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