ダンデライオン
「いただきまーす」

忍兄ちゃんと一緒に両手をあわせて言った後、箸を持った。

「富山のばあちゃん、いいなす作ってきたね」

揚げなすにしょう油をかけながら、忍兄ちゃんが言った。

「そうね、しばらくはなすに困らないかもね」

私は毒づくように忍兄ちゃんに言った。

忍兄ちゃんはなすが大好物なのだ。

私はなすのみそ汁をすすった後、美味しそうに揚げなすを頬張っている忍兄ちゃんに視線を向けた。

「うん、アサちゃんの手料理はうまい!」

うまいって、なすを素揚げしただけなんですけど。

私は心の中で毒づいた後、揚げなすを口に入れた。

そう言えば、忍兄ちゃんと2人でご飯を食べるのは今日が初めてだ。

そう思った私に、
「ああ、そうだ」

忍兄ちゃんが思い出したと言うように言った。

「何?」

私は忍兄ちゃんに聞いた。
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