ダンデライオン
その手がつかまれたと思ったら、私の視界に見なれた天井が入った。

えっ、何?

背中の感触に、私は畳のうえに押し倒されたのだと言うことを理解した。

何で私、押し倒されたの?

戸惑っている私に、
「アサちゃんは変わっていないよ」

視界に忍兄ちゃんが入ってきた。

私の顔と忍兄ちゃんの顔の距離は、わずか数センチ。

唇を突き出したら、キスをしてしまいそうだ。

「変わってないって…」

さては、寝たフリをしていたわね!?

「と言うか、退いてよ。

テレビ見てたんだから」

私は忍兄ちゃんの肩をたたいた。

本当はテレビじゃなくて忍兄ちゃんの顔を見ていたと言うのは内緒にする。
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