ダンデライオン
忍兄ちゃんは私の頬に手を当てた。

ドキッ…と鳴った心臓に、私は戸惑った。

この状況で、しかもこう言うシチュエーションだから戸惑っているのよ。

心臓の音に対して、私はそんな言い訳を自分自身にした。

忍兄ちゃんは目を細めると、
「全然変わっていない」
と、言った。

「は、はあ…?」

私のどこが変わっていないと言うのだろう?

そう言おうとしたら、
「ただいまー」

お父さんが帰ってきた。

忍兄ちゃんが私から離れた。

「なっ…」

何で離れちゃったのよ…。
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