ダンデライオン
玄関に行くと、
「忍兄ちゃん、遅いわよー」

私は忍兄ちゃんの手からカバンを受け取った。

「ごめんごめん、事務処理に手間取っちゃって!

まだ時間大丈夫だよね?」

忍兄ちゃんは靴を脱ぎ捨てると、居間へと向かった。

「大丈夫と言えば大丈夫だけど、間にあうの?

もう30分もないわよ?」

私は忍兄ちゃんの後を追いながら話しかけた。

「すぐに着つけをするから、用意はしているんでしょ?」

「していると言えばしているけど…」

浴衣の着つけがなれている人でも30分はかかるそうだけど、本当に間にあうのかしら?

「アサちゃん、浴衣!」

「わかった」

忍兄ちゃんに言われ、居間の隣にある部屋から浴衣をとりに向かった。
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