ダンデライオン
私は息を吐くと、
「じゃあ、一緒に行ってあげるわ。

忍兄ちゃんの着替えが終わるまで、玄関で待ってるから」

忍兄ちゃんにそう言うと、居間を後にした。

玄関で忍兄ちゃんを待っていたら、
「お待たせー」

黒の着流し姿の忍兄ちゃんが玄関に現れた。

「…何で忍兄ちゃんも和服着てるの?」

着流し姿の忍兄ちゃんを頭からつま先まで見て聞いた私に、
「アサちゃんの和服姿を見たら俺まで着たくなったんだ」

忍兄ちゃんは笑いながら返すと草履を履いた。

「ほら、アサちゃんも」

忍兄ちゃんが私に手を差し出してきた。

差し出したその手に自分の手を重ねると、私は下駄を履いた。
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