ダンデライオン
横町の裏にある神社へ行くと、そこは盛りあがっていた。

「わーっ、懐かしいなあ」

忍兄ちゃんはキョロキョロと周りを見回している。

「あの、忍兄ちゃん」

私は忍兄ちゃんに話しかけた。

「どうかした?」

そう聞いてきた忍兄ちゃんに、
「いつまで手を繋いでいるの?」

私は忍兄ちゃんと繋いでいる自分の手を見せた。

「別にいいじゃん」

笑いながら言った忍兄ちゃんに、
「いい訳ないじゃないの。

私、もう子供じゃないんだから」

繋いでいる手をブンブンと上下に振った。

結構激しく振っているのに、忍兄ちゃんの手が私から離れることはなかった。
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