ダンデライオン
 * * *

小学3年生の夏休みのことだった。

今みたいに激しく雨が降っていて、激しく雷が鳴っている夜のことだった。

お父さんと良太と一緒にテレビを見ていた時、電話が鳴った。

「はいはーい」

お母さんが電話に出た。

「もしもし、八束です…。

あら、美沙子ちゃんどうしたの?」

美沙子ちゃんとは、忍兄ちゃんのお母さんの名前だ。

彼女から電話がかかってきたと言うことは、長電話の始まりである。

そう思った時、
「ええっ!?」

お母さんが驚いた声をあげた。

何だろう?

「ううん、ここにはきていないわ。

忍くんがきたらすぐに電話するから、じゃあ」

ガチャンと、お母さんが電話を切った。
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